地震予測の東大名誉教授 学者や気象庁から軽く見られる理由

NEWSポストセブン / 2013年5月17日 16時0分

 1995年の阪神・淡路大震災を契機に、GPSデータを測定する電子基準点が国土交通省によって日本全国に配備された。しかし、このデータは国土地理院が「地震の後に土地がどれだけ動いたのか」を測量するためには利用されてきたが、地震の予測には使われてこなかったという。

「電子基準点は全国に1243か所もあります。これほどGPSが網の目のように張りめぐらされている国は、世界中でも日本だけ。そのデータが2002年頃から使えるようになったのです。我々は、2000~2007年に起きたマグニチュード6以上の地震162個全ての追跡調査を行ないました。すると、地震の前に何らかの前兆現象が見られることがわかったのです」

 こう話すのは、東京大学名誉教授で、測量学の世界的権威である村井俊治氏だ。同氏は自ら顧問を務める民間会社JESEA(地震科学探査機構)を通じて、会員向けに地震予測のメールマガジンを開始。4月13日に淡路島で起きた地震の前兆現象も事前に掲載されていた。

 前兆現象とは、「地殻の微小な変動」のことである。GPSの特徴は、地球の重心を原点として電子基準点の赤道面方向(X軸、Y軸)へのズレだけでなく、天頂方向(Z軸)へのズレも観測できること。つまり、地殻が沈み込んだりする動きもキャッチすることが可能なのだ。村井氏は、電子基準点のX、Y、Z三次元の座標軸の動きを測量。さらに3点の電子基準点を結んだ三角形の面積変動率を計測することで、地殻の微小な変動を解析した。

 そして2006年には、共同研究者の工学博士・荒木春視氏とともに「地震・火山噴火予知方法」という特許を取得するに至ったのである。

「過去の解析例では、正確に何日後に地震が起きるとまでは予測できていません。しかし、最初の前兆現象からほぼ5週間以内に地震が起きていることはたしかです」(村井氏)

 本誌記者も、村井氏の案内で東京都世田谷区の電子基準点を訪れたが、高さ5メートルの金属製の塔の側面には、「この受信データは、土地の測量、地図の作成、地震・火山噴火予知の基礎資料に利用されます」と明記されていた。

 ただし、電子基準点の観測データは、アンテナへの積雪や周辺の樹木の繁り方、道路工事などで「ノイズ」が発生することもある。JESEAでは継続して電子基準点の動きを観察し、その時間的な傾向(トレンド)を把握、そこから大きく乖離した動きが10日以上続く場合には、地震の可能性が高いという予測を発表している。乖離が短期間であれば「ノイズ」と判断するというわけだ。

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