弁護士出身政治家 国会で相手論破目的化する致命的欠陥あり

NEWSポストセブン / 2013年6月5日 16時0分

 政治の世界で存在感を高めつつあるのが「弁護士(法曹)出身」政治家である。国会では40人の大勢力となっている。とりわけ、目立っているのが「日本維新の会」の共同代表の橋下徹・大阪市長だ。

 その橋下氏だが、今回の「従軍慰安婦」発言では当初、“どこの軍にもセックスサービスはつきもの。だから沖縄米軍の兵士に性犯罪を犯させないためには風俗をもっと使えばいい。日本の風俗は合法だから”と、いわば必要悪として肯定する論理展開だった。

 それが国際的な批判を浴びると、「法的には間違いではない」と強弁し、外国特派員協会で開いた釈明会見では、本当にいいたかったのは“日本は慰安婦問題を反省すべきだが、各国も自国の兵士が女性の人権を蹂躙した事実に真摯に向き合うべきだという趣旨だった”と論点を変えた。

 こうした論点のすり替えは政治家にとっては大きな問題をはらむのではないか。平野貞夫・元参院議員は、議会政治の面でも、弁護士出身者には致命的な欠陥を持つ議員が多いと指摘する。

「議会政治では相手を納得させ、あるいは勝ちを譲っても、幅広い合意をつくることが重要だ。しかし、弁護士議員は法廷のように国会で相手を論破することが目的化している」

 言い方を変えれば、橋下氏がそうであるように、「敵」とみなせば徹底的に攻撃する闘争本能が弁護士政治家の特徴だ。小沢一郎氏の陸山会事件をめぐる民主党内抗争でも弁護士出身議員が大きな役割を演じた。

 検察審査会で小沢氏が強制起訴されると、江田氏や仙谷氏ら菅政権中枢の弁護士政治家たちが「起訴は起訴だ」「強制起訴なら離党勧告」とその闘争本能を発揮して攻撃し、民主党執行部は小沢氏を党員資格停止処分にして代表選への出馬を含めて政治活動を封じ込めた。それが民主党分裂につながり、政権を失う結果を招いた。

 しかし、そもそも小沢裁判は、検察の捜査段階から、政治資金収支報告書の入金日の「期ずれ」問題(※注)という、他の多くの政治家は報告書の修正で済ませている事務手続き上の瑕疵(かし=欠点、欠陥)が問われた事件である。

 そんな形式犯の容疑で、果たして政権党の大黒柱だった小沢氏の政治的行動を縛ることが国民に益をもたらすのか。この事件は国家において政治と法のどちらが優先されるかをめぐって、形式犯でも違法は違法と見る「弁護士政治家の正義」と、瑕疵があったと違法性を問うより有権者への責任を果たすことの方が重要だという「政治家の正義」が正面からぶつかった戦いといえた。

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