乳がん発覚作家 乳房の再建手術に至るまでの経緯を振り返る

NEWSポストセブン / 2013年6月9日 16時0分

 乳がんになるリスクを減らすため、おっぱいを予防的に切除、再建することを選んだハリウッド女優、アンジェリーナ・ジョリー。日本人女性の16人に1人が乳がんになる現在、こうした「選択」は他人事ではない。『エクソシストとの対話』(小学館)などの著書があるノンフィクション作家の島村菜津さん(49才)もまた、乳がんが発覚し、再建手術を選択したひとり。手術に至るまでの検査とは? 以下、本人の体験談だ。

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 一般に乳がんの成長速度はとても遅く、数cmに成長するのに10年かかる。

 だが、中には急成長する特殊ながんもあるという。どっちなんだよとつっこみたくもなるが、がんの種類や進行度にもよるものの、しこりの正体は、術後の精密検査で初めて正確にわかる。

 それなら一刻も早く切ってしまおうと手術を申し出ると、乳がん検査をしてくれた医師から、都内のお勧め病院5か所のリストを手渡される。その場で聖路加国際病院(東京)に決めた。

 がん研有明病院(東京)に次いで日本で2番目に多くの乳がん手術をこなす病院で、多けりゃいいというものでもないが、乳がん界のパイオニアとされる乳腺外科医・中村清吾さん(現・昭和大学病院ブレストセンター長)のつくった乳腺外科『ブレストセンター』の評判は、なかなかよかった。

 すると、リストをくれた医師がその場で電話を入れてくれた。

 こうして、切る気まんまんで向かった聖路加での初診の日、検査がまだひと月ほど続くことを知らされてがっかりした。担当医でクリニカルフェロー(研修期間を終了し、認定医を取得した医師)の美しい尹玲花(いんれいか)さんが「まだ切りませんよ」と微笑む。セカンドオピニオンなどという言葉すら忘れていたせっかちな患者を、「まあ、そう焦らず」と押しとどめたかたちだ。

 初日はMRI。『身体のいいなり』(朝日新聞出版)著者の内澤旬子さんも「鉄パイプを持ったヤンキーが外から土管をがんがん襲撃する」音に例えていた。そこで覚悟して臨んだら、装置も進化したのか、音が少々うるさいだけだった。マンモトーム生検という、うつ伏せで胸をマンモグラフィーに挟んだ状態で、より正確な組織を採るという、アクロバティックで、価格もゴージャスな検査(2万1000円)も受けた。

「あの、いじくりまわして、乳がんの侵潤を促進しませんか」

 という失礼な質問に、尹さんは、ただ「いいえ」と微笑む。

「がん細胞は、そんなにやわじゃない」

 と言うと、静かにまた頷く。がん細胞は、正常な細胞から発生し、体の指令を無視して増殖を続ける細胞だという。

 だいたい、がんなんて日本の名称は響きがよろしくないうえに、厚生労働省の資料や保険の規約には、がん(悪性新生物)という物騒な別称まで使われている。まるで『遊星からの物体X』ではないか。

 こちらはがん細胞の性質について、まったく無知なのだから仕方ないのだ。

※女性セブン2013年6月20日号

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