29歳元女性運転士が進める改革でレッドアロー号乗車率10%増

NEWSポストセブン / 2013年6月23日 16時1分

 米投資系ファンド・サーベラスとの対立が、西武グループ57社を揺るがしている。その西武グループは1912年に前身となる武蔵野鉄道を始まりとしているが、その始祖たる鉄道事業もいま、変わろうとしている。

“総帥”と呼ばれた堤義明氏が証券取引法違反容疑で逮捕されたのち、入社した元女性運転士が中心となりすすめた新たな試みについて、ジャーナリストの永井隆氏がリポートする。

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 西武グループにとって鉄道は祖業であり、まぎれもない“4番打者”だ。2013年3月期、グループ全体の営業収益(売上高)は4592億円。うち鉄道業の営業収益は約1038億円に上る。「西武鉄道」は、池袋線・新宿線の2つの幹線を中心に12路線で営業キロ数は176.6㎞、利用者は1日167万人に及ぶ。

 そんな鉄道事業に新しい波が起きている。一つが「特急改革」だ。鉄道本部計画管理部の木村有加氏(29)が語る。

「特急は鉄道会社のフラッグシップです。利便性と快適性に優れた特急の活用は、西武鉄道の企業価値向上に役立つと考えました」

 西武の特急といえば「レッドアロー」。創立100周年に当たる昨年、新宿線の東村山駅と新所沢駅に期間限定で停車させるプロジェクトを実施、利用者から好評を得た。それに続き、今年3月16日のダイヤ改正を機に東村山を特急停車駅に変えた。これは現場からのボトムアップで生まれたアイデアが実現したもの。

「鉄道を含め西武グループは、堤義明氏がすべてを支配する王国だった。その崩壊で民主化が始まった。トップダウンを受ける一方だった現場が、堰を切ったように意見を出すようになった」(同社幹部)

 木村氏は2006年に立教大学文学部を卒業して入社。同社の女子総合職一期生だった。池袋駅員や車掌などを経験して、2008年7月に同社では戦後初の女性運転士になった。

 4か月間の座学の後、ベテラン指導員がついて客を乗せた車両のハンドルを握った。さらに4か月後には運転士試験に一発合格。一人前となって最初に一人で運転したのが新宿線のレッドアローだった。運転士をしながら結婚、出産。産休が明けた2010年末に計画管理部の特急を担当するチームに異動した。

「お客様はレッドアローに何を求めているのか。まずはチームが知らなければ」

 調査会社を通じ、沿線でアンケートを取った。すると、「一度も乗ったことはないが、本当は使いたい」という回答が多かった。そこでチームは、これまで停まっていない駅にも期間限定で特急を停車させることを提案。会社も認めた。

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