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【夏休み終わりに知っておきたい】インターネットに漂う「生きるのが辛い」投稿に引きずり込まれる危険にどう向き合うか デジタル遺品の専門家の考え方

NEWSポストセブン / 2024年8月31日 11時15分

夏休み明けがつらいという人へどうすれば良いのか

 18歳以下に限ると、1年で最も自殺者が多いのは9月1日、すなわち夏休み明けとの統計がある。友人や匿名の誰かから「生きるのが辛い」という声を受けとったとき、どう向き合えば良いのか。そうした声が書き込まれた143のサイトを読み込み、どう対応するかを考察した『バズる「死にたい」』(小学館新書)の著者で、デジタル遺品に関する調査を続けるノンフィクションライターの古田雄介氏がレポートする。

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 これから数日の間、SNSやブログで生きづらさや、そこからくる希死念慮や自殺願望に触れる機会が増える可能性が高いでしょう。

 というのも、18歳以下の自殺者数を日別で見たとき、1年を通して毎年9月1日が突出するためです。少し古い資料ですが、平成27年版自殺対策白書によると、約40年間の統計で同様の傾向がみとめられるといいます。

 9月1日を夏休みが終わって学校が始まる日だと仮定すると、今年は当日が日曜日になるので、9月2日(月)にピークが移りそうです。そして、月曜日は年代性別を問わずに自殺者数が増える曜日でもあります。

 若い人や、若い人との交流が多い人は、近しい間柄の人からそうした声に接する状況に備えておいたほうがいいかもしれません。

 それ以外の人も無関係とは思わないほうがよいでしょう。多くの人にリアクションされた投稿=バズった投稿はフォローの枠を越えて広範に拡散するので、目に触れる機会がおそらくは自然と増えるからです。実際のところ、「死にたい」という声はよくバズります。

 近年、自傷や自殺を誘発する書き込みは世界中で厳しく規制されていて、自傷や自殺に関するメッセージもしばしば抹消や表示規制の対象にされています。ところが、この声はインターネット上で増え続けています。たとえば「Googleトレンド」で「死にたい」を全期間検索すると、2010年頃からスコアが倍増していることが分かります。

 SNSで個々人の思いが自由に発信できる今の時代、こうした声は案外誰のところにもすっと届くようになっているのです。心配になったり、動揺したり、ときには共感を生んだりと、独特の引力を備えたメッセージといえるでしょう。

 ではこうした言葉に直面したとき、どう向き合うのがよいでしょう

引きずり込まれる危険を感じたら判断を放棄する

 私は『バズる「死にたい」』という本を刊行するにあたって、自殺願望や希死念慮を吐露するサイトを143件読み込みました。数回の投稿で更新が止まったものもあれば、10年以上もほぼ毎日の発信を残していたものもあります。10代の人から推定60代の人まで年代も様々でした。そうしたサイトに触れたうえで断言できることがひとつあります。「死にたい」という声だけでは、何も判断できないということです。

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