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『地面師たち』積水ハウスの“秘密文書”に見る巨額詐欺事件の真相「ずさんな手書き稟議書」「急展開した取引」の背景に派閥争い

NEWSポストセブン / 2024年9月23日 11時13分

地面師グループに騙された巨額詐欺事件の真相とは(Netflix公式より)

 ここに一冊の資料がある。「調査報告書」と題された内部資料には「マル秘」の印が押されている。この資料は7月25日から動画配信サイト「Netflix(ネットフリックス)」で配信がスタートし、大きな話題を呼んでいるドラマ『地面師たち』の“元ネタ”となった事件に関するものだ。

 劇中で被害に遭う住宅メーカー「石洋ハウス」のモデルとなったのは、大阪市に本社を置く大手住宅メーカー「積水ハウス」。同社が2017年に55億5000万円を地面師グループにだまし取られる被害に遭ったこの事件で、社内で行った内部調査の結果を詳述したのが、この「調査報告書」だ。しかし、この報告書の全貌が明らかになることはなく、事件から3年を経た2020年に一部を黒塗りにしたものが公表されるにとどまった。「秘密文書」とも言える報告書には一体、何が書かれていたのか。ジャーナリストの安藤海南男氏がドラマとの類似点に触れながら解き明かす。【前後編の前編】※一部、ドラマのネタバレを含みます

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 豊川悦司と綾野剛のW主演で話題となっているネットフリックスの『地面師たち』は、配信以降、国内ランキングの1位はもちろんのこと、世界中で大ヒットが続いているクライムサスペンスドラマだ。主演の2人を支える小池栄子や山本耕史ら、実力派俳優陣の演技力も相まって今年のナンバーワンヒット作の筆頭となっている。

 地面師とは、土地の所有者や関係者になりすまし、実際には所有していない土地を売却して購入者側から多額の現金を騙し取る詐欺師だ。近年は減少傾向にあるが、2017年に発覚した「積水ハウス」の事件では、15人以上の地面師関係者が逮捕され、被害額は前述のように50億円を超え、同種の事件では史上最高額とみられている。

「実際の事件は、2018年10月16日に警視庁捜査2課が地面師グループのメンバーを一斉逮捕したことで明るみに出て、大きな話題となりました。主犯格のひとりが海外逃亡するなど、当時からサスペンス映画さながらの展開が連日報道されていた。

 ドラマはあくまでもフィクションが原作なので、実際の事件とは異なる部分も多いです。例えば、綾野剛さんが演じた地面師被害に自らも遭っていたという地面師はいませんし、リリー・フランキーさんが演じた事件発生前に一味を捜査して殺害された捜査員は、私が知る限りはいません(笑)。ただ、被害企業で社長と会長による派閥争いが行われていたことが事件の背景にあったことや、詐欺に使用された土地の所有者が“売却の意思がない独り身の女性”であることなど実際の事件と重なっている部分も多く、楽しくドラマを見ることができました」(元警視庁捜査2課担当記者)

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