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《入居一時金が億単位のことも》「超高級老人ホーム」に住むのは幸せなのか?「入居者主体の管理組合が入居希望者を選別」「ハリボテの高級感」…桃源郷とはほど遠い現実

NEWSポストセブン / 2024年9月29日 7時15分

 驚いたのは、この管理組合のメンバーが入居希望者の選別にまで関わっていることだった。

「住人にはマンションの運営に役立ってもらわなくちゃいけない」と元理事長。彼らが直接入居希望者を面談するのだ。

 希望者は健康であることが条件で、杖を突いていたらダメ。施設内にある螺旋階段を昇降できるか「運動テスト」まで実施していた。

 こうした入居者は、スタッフに対する要望も多い。別の施設のスタッフは、「以前は施設内の部屋に住み込みで働いていたのですが、休日や夜中でも構わず入居者が訪ねてくるので、近くにマンションを借りました」と嘆息していた。スタッフの怨嗟の声は様々な施設で聞いた。

こっそり鰻を中国産に

 セレブ入居者の横柄な対応に追われる施設スタッフは気の毒だ。相応の金を貰っているのであれば、ある程度は仕方ないとも思うが、高級施設のスタッフの給料を調べてみると、決して高給取りではない。

 先に触れた入居一時金1億超の都内施設では職員の給料は30万円台半ば。この給料で高級感を維持するために一流ホテル並みのホスピタリティを発揮しなければならない。

 確かに施設内は超ハイグレードな雰囲気で統一されている。関西地方のある施設ではゴーギャンやシャガールの絵画が廊下に飾られていた。施設の職員は「これ全部フェイクですよ」と話していたが……。

 要するに“ハリボテ”なのだ。入居者から見えない部分は手を抜きやすい。この関西地方の施設では、調理スタッフが嘆いていたという。「調理場には窓がなく、施設がオープンしたころはエアコンもなかった。湿気だらけで、食事に混ぜる『とろみ剤』のタッパーにはカビが生えていた」と。

 ある施設では、コスト削減のためレストランで出す鰻をこっそり中国産に変えたという元職員の証言もあった。入居者は誰も気付かず、その後、食堂の好きな品目についてアンケートを取ると鰻が1位になったと苦笑いで明かしてくれた。

 そうした不都合な事実を見つけられるのが怖いのだろう。取材後に原稿を確認させろと言ってくる施設が多かった。

 無論、事実確認のためであれば原稿の事前開示もやぶさかではないが、無理難題を押しつけてくるケースには辟易した。

 都内のある高級施設では、事前の原稿確認を求めてきたうえ、入居者の言葉として、「ここでの生活は快適です」「スタッフには奉仕の精神がありました」といった文言を入れろ、でないと掲載はさせないと要求してきた。こうなると脅しだ。もちろん施設側の要求は突っぱねた。

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