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《入居一時金が億単位のことも》「超高級老人ホーム」に住むのは幸せなのか?「入居者主体の管理組合が入居希望者を選別」「ハリボテの高級感」…桃源郷とはほど遠い現実

NEWSポストセブン / 2024年9月29日 7時15分

 一方で、これぞ超高級老人ホームの真骨頂だとも感じた。

 彼らは、これまで施設を褒め称える取材しか受けてきていない。先の関西地方の施設は、過去にテレビで何度も「庶民の羨望の的」として扱われてきた。メディアの“提灯記事”により、実態と乖離したイメージが一人歩きする結果になったと言える。

 看取りについても同様である。高級施設の多くは、「うちは看取りまでやっている」と謳う。しかし、鵜呑みにはできない。要介護が進むと最期は住み慣れた部屋から出され、看取り専用の別棟に移されるケースが散見されるからだ。

 先に述べた東海地方の高級施設では、死期が近づくと系列のケアホテルに転居するケースが目立つことを元理事長が明かしていた。「あっち行くと、すぐ死んじゃうんだよ」とボヤいていた。

 寝たきりになった入居者が「介護専用棟」に転居させられ、最期は病院に運ばれて死去する。こうした事例は各地の高級施設で多数聞いた。

 施設側の言う「最期」とは一体何なのか、考えさせられる出来事だった。

 取材の過程で数多の超高級老人ホームを見てきたが、そこに住む人々は本当に幸福なのだろうか。いまも答えは分からない。

 ただひとつ言えることは、仮にお金があったとしても、「私は入りたくない」ということだけだ。

【プロフィール】
甚野博則(じんの・ひろのり)/1973年生まれ。ノンフィクションライター。大学卒業後、大手電機メーカーや出版社などを経て2006年から『週刊文春』記者に。現在はフリーランスのノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌などでルポルタージュを執筆。近著に『実録ルポ 介護の裏』(文藝春秋)、『ルポ 超高級老人ホーム』(ダイヤモンド社)がある。

※週刊ポスト2024年10月4日号

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