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「むしろ孤独死のほうがいい」とまで考えた作家・真梨幸子さんが死後の準備を思い立ち作成した「オリジナル終活ノート」

NEWSポストセブン / 2024年9月29日 11時15分

母はしんみりと言いました。そして、

「次は、絶対に助けないでね」

 その一週間後、母は二度目の危篤状態に。そして、亡くなりました。母の希望通り、延命はしませんでした。

 死にそうな人を助けるのは正しいこととされていますが、それって本当かしら? 死んでいく人を引き止める行為こそ、エゴであり悪徳なんでは? 母の死は、私に、改めて善と悪の意味を突きつけたのでした。そして、幸せの意味も。もしかしたら、人にとって一番の幸せって、死ぬべきタイミングで一人ですぅぅっと死んでいくことなんでは?

 孤独死。これも、世の中的には、よろしくないことになっています。でも、死んでいく人にしてみれば、下手に蘇生させられたり延命されたりすることなく逝けるのですから、案外、幸運なことなのかもしれません。だったら私も孤独死でいいかな。

 いやいや。私には猫がいる。絶対に孤独死するわけにはいかない!

 死ぬときは死ぬんだよ。諦めな。

 だめだめ、猫が!

 ……そんな葛藤がずっと続いています。

 そこではじめた、終活。まずは弁護士に相談し、遺言書を書きました。そして、終活ノートの作成。特に心を砕いたのは愛猫の譲渡先です。弁護士さんのアドバイスに従い、養育費も用意することしました。それでも不安で、ああして欲しいこうして欲しいを色々とまとめていると、

「後は野となれ山となれ……でいいんじゃない?」

 と言うように、愛猫が足元をすりすりしてきます。

 だから、そういうわけにはいかんのだよ。あなたのことが心配で心配で。

「ほんと、人間って面倒くさい」

 ほんと、人間って面倒くさいね。でも、その面倒くさいところが、人間を人間たらしめているんじゃないかしら。その最たるものが、「小説」。

 ならば、この葛藤を小説にしてみるか。

 そして生まれたのが『ウバステ』という作品です。煩悩まみれの人間たちが死に方を模索する物語なんですが、これを書いていて、気がつきました。人って百パーセント死ぬんだなって。なにを当たり前なことを。そう、そんな当たり前なことにも目隠ししてしまうのが、人間なのです。

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