掲示板で仲間を募集 内容を聞くと「窃盗のドライバーです」

NEWSポストセブン / 2013年8月26日 7時0分

 プロバイダの規制や警察当局の取り締まり強化は、皮肉にも「闇サイト」の更なるアングラ化を進めている。ネットの暗部で蠢く犯罪者集団の動向を、ジャーナリスト・渋井哲也氏がリポートする。

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 金銭目的の犯罪仲間を募集する掲示板は多数存在する。「即金日払い、高額なお仕事あります!」と掲げるあるサイトにメールすると、「違法なお仕事です。それでも良ければ電話番号を教えて下さい」と返信があった。こちらがしつこく内容を聞くと、「(仕事は)窃盗のドライバーです。納得して頂けるなら返信を」と返された。どこまで本当かは分からないが、なかには募集に応じた者から登録料名目で金を騙し取る詐欺もある。

 いわゆる「闇サイト」が注目を集めたのは2007年8月に起きた「名古屋OL拉致殺害事件」だった。求人サイト「闇の職業安定所」(現在は閉鎖)で結びついた3人の男が殺人を犯すという前代未聞の事件だった。同サイトの管理人によると、開設当初は「短期アルバイトの求人サイト」を目指していたが、ネットの匿名性、閉鎖性が悪用されるようになったのだという。

 しかし、たとえ「闇サイト」の規制を強化したところで、需要と供給がある限りネットを使った犯罪の根絶は不可能だろう。いまでも多いのは違法薬物の売買で、別の掲示板には「冷たいお菓子あります」との書き込みがあった。

「冷たいお菓子」は覚せい剤の隠語で、「アイス」や「S」とも呼ばれる。問い合わせると、書き込みの主は覚せい剤の密売であることをあっさり認めた。大麻は「野菜」、LSDは「紙」「神」などと言い換えられ売買されることもある。

 2000年代には、ネットを介した請負殺人や嘱託殺人事件が相次いだ。

 2005年12月、長野県松本市の無職男性が自宅で殺害された事件では、その長男がネットで殺害を依頼したとして、実行役の男とともに逮捕された。殺害に加担した長男の息子も逮捕されている。長男はネットの掲示板に「万が一にも殺したら100万円」などと書き込み、それに応じた男と面会して殺害計画を協議。その場で数十万円の着手金を支払っていた。依頼する側も引き受ける側も、まるでアルバイト感覚で殺人に手を染めていた。

 また、2007年の「川崎『何でも屋サイト』殺人事件」は、ネットで「何でも屋」を開設していた男性に20代女性が自殺のほう助を依頼。男は報酬20万円を受け取り、女性を殺害した。

●渋井哲也(しぶい・てつや):1969年栃木県生まれ。東洋大学法学部卒業後、「長野日報」を経てフリーに。ネット犯罪、教育問題、少年犯罪などについて取材を続ける。主な著書に『実録・闇サイト事件簿』(幻冬舎新書)、『ウェブ恋愛論』(ちくま新書)、『若者たちはなぜ自殺するのか』(長崎出版刊)など。

※SAPIO2013年9月号

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