自殺サイト 参加者同士が心理的に支え合う側面ありと専門家

NEWSポストセブン / 2013年8月31日 7時0分

 2000年代、ネットを介した請負殺人者嘱託殺人事件が相次ぎ、プロバイダの規制や警察当局の「闇サイト」への取り締まりが強化された。ところが、皮肉なことにさらなるアングラ化が進み、ネットの暗部で犯罪者集団は蠢いている。ジャーナリスト・渋井哲也氏がネットに潜む犯罪者たちの動向をリポートする。

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 復讐代行を目的としたサイトは今なお存在する。そのひとつにコンタクトを取り、「別れた彼女に復讐したい」との架空の依頼を持ちかけると、管理人は具体的な内容を話し始めた。

「彼女の勤務先を知っているのなら、その女性を辞職に追い込むというのはどうでしょう。悪い噂を流すなどして、会社に居づらくなるようにする。会社を絡めると、社会的な制裁ができますよ」

 復讐工作に要する期間は約3か月、費用は案件の難易度に応じて30万~70万円とのことだった。人件費やリスクを考えれば、リアリティーのある数字と言えなくもない。殺人や襲撃はあまりにリスクが大きいが、嫌がらせ程度なら引き受ける業者があっても不思議ではない。

 実際に、誹謗中傷ビラや怪文書を復讐対象の周辺に撒いたり、イタズラ電話を代行するという業者もあった。「あなたに代わり呪いの代行をする」という別の業者は、呪詛で相手にダメージを与えると話していた。バカバカしいと思う半面、依頼者の怨念を考えると、それはそれで不気味だ。

「自殺サイト」も相変わらず多い。15年ほど前の「ドクター・キリコ事件」では、自殺サイトで相談役を引きうけていた男性が、ネットで知り合った女性に青酸カリを送付。女性はこれを飲み自ら命を絶った。後に男性も青酸カリを飲んで死亡している。

 こうした悲劇が相次いだにもかかわらず、未だに自殺サイトが盛況なのは、アクセスした者同士が心理的に支え合う側面もあるからだ。それぞれのサイトには「自殺者募集禁止」や「自殺ほう助禁止」などが明記されているが、サイトで知り合った者同士がメールや電話でやりとりすれば一切表に出てこない。

●渋井哲也(しぶい・てつや):1969年栃木県生まれ。東洋大学法学部卒業後、「長野日報」を経てフリーに。ネット犯罪、教育問題、少年犯罪などについて取材を続ける。主な著書に『実録・闇サイト事件簿』(幻冬舎新書)、『ウェブ恋愛論』(ちくま新書)、『若者たちはなぜ自殺するのか』(長崎出版刊)など。

※SAPIO2013年9月号

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