弁当の路上販売 都では「人力で移行しながら」が求められる

NEWSポストセブン / 2013年8月29日 16時0分

 近年、都市部のオフィス街でよく見られるようになったのが「弁当の路上販売」だ。手頃な値段が設定され、ビジネスマンの強い味方となってきた。ところが、バカな規制強化によってこうした業態が姿を消してしまうかもしれないのだ。政策工房社長の原英史氏が指摘する。

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 平日のお昼になると、オフィス街では弁当の路上販売に行列ができる風景をよく目にする。こうした路上販売に対し、東京都が規制強化を検討する方針を打ち出し、ちょっとした騒ぎになっている。
 
 既に、都心の路上で弁当を販売している業者に対して、自治体の職員が、「立ち止まっての客待ちは違反ですよ」などと監視・注意するというシーンが見られるようになってきた。
 
 東京都では、昭和30年代に興行場(映画館、劇場、野球場など)での握り飯の行商が広がり、食中毒などの問題が生じた。このため昭和37年(1962年)に東京都の独自ルールとして、条例に基づき弁当類の行商が規制された。京都や埼玉などでも弁当類の行商が規制されている。また地域によって、例えば水産物の行商の多い地域では、それが条例で規制されるなどの例も少なからずある。

 地域の実情に応じたルールが策定されるのは悪いことではない。地域によって気候や営業実態も異なるのだから、それらに応じたルールを設け、食品衛生を確保したらよい。ただ問題は、実態に応じて食品衛生を守るための適確なルールになっているかどうかだ。これが残念ながら疑わしい。

 東京都の現行ルールでは、例えば、「人力により移行しながら販売」することが求められる。

 東京都が福祉保健局健康安全室長名で2007年に発出している「行商に関するQ&A」によると、これは〈人が一人で運搬できる量を運搬容器に入れて取扱い、客の求めに応じてその都度、商品や金銭の授受のために立ち止まる以外は、原則として、移行しながら販売すること〉を意味する。立ち止まって客待ちするなど、〈移行することなく特定の場所に留まって営業する形態は、行商を逸脱している〉ことになるとされ、許されていない。だから、東京都心のオフィス街では自治体職員が弁当販売業者に対し、「客待ちしないように」と指導している場面が見られるのだ。

 しかし、これは食品衛生を確保する観点でどういう意味があるのだろうか? 真夏の炎天下で、日陰にとどまって客待ちしていたら「動き回れ」と命じられるわけだから、逆に弁当がいたむリスクが増してしまうのでないか。

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