薬のデータ捏造、論文捏造など大学医療の問題を東大教授告発

NEWSポストセブン / 2013年8月17日 7時0分

 1960年代に発表された山崎豊子の『白い巨塔』は、閉鎖的かつ権威主義的な大学病院の腐敗を描いた作品だった時を経ていま、相次ぐ薬のデータ捏造や研究費の不正流用が発覚し、その体質はより腐っていたことが明らかになった。

 東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門で医療ガバナンスを研究している上(かみ)昌広・特任教授(内科医)が、この現状を憂い、膿を出し切るために爆弾告発を決意した。

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 いま問題となっている「バルサルタン事件」は、残念ながら氷山の一角に過ぎません。日本の大学病院と製薬会社は、不正や癒着が起きやすい構造になっています。同様の不正はまだまだあるはずです。今後、糖尿病、がん、精神病などの分野でも問題が発覚するでしょう。これらの疾患に関わる医療では巨額のお金が動くからです。

 製薬会社に「御用学者」が引っぱり出され、この薬は効くぞというようなことをふれまわる。厚労省は見て見ないふりをする。この構造は、原発事故における“原子力ムラ”と同じです。電力会社が製薬会社、経産省が厚労省に置き換わっただけ。そして、御用学者たちがまんまとそれに使われている。「原発は安全だ」といっていた学者と、いま製薬会社と癒着している医師たちは全く同根です。

〈大手製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤ディオバン(一般名・バルサルタン)に関して、脳卒中予防などの効果を調べた複数の大学の臨床データに不正があった問題は、大学側が次々と謝罪する事態となった。医療の信用を大きく損なった「前代未聞の不祥事」として連日のようにマスコミに報じられているが、この深淵には、福島第一原発事故同様、官・民・学の「利権」と「癒着」がある、とバッサリと斬り捨てる医学者がいる。

 東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門で、医療ガバナンスを研究している上昌広・特任教授(内科医)である。〉

 バルサルタンは血圧を下げる薬ですが、他の薬と比べて、それほど下がり方は強くない代わりに、心筋梗塞や脳卒中のリスクが半分くらいに減りますよ、と製薬会社は謳っていた。その根拠とされていたのが、京都府立医大や慈恵医大など5つの大学で行なわれた臨床試験論文でした。

 ところがその論文に関し、京都大学のドクターがどうも血圧値がおかしいと指摘して調査したところ、血圧値や脳卒中、心筋梗塞の発症数を改竄していたことが判明し、さらに製造元であるノバルティスの社員(5月に退職)がデータ解析に関与していたことが分かったのです。

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