釣りでよく使われる「朝まずめ」「夕まずめ」は何時頃なのか

NEWSポストセブン / 2013年9月11日 7時0分

 釣りには、普通の生活では滅多に耳にしない言葉がよく使われる。一日の時間をあらわす言葉にも、釣り独特の言い回しが多くある。釣り関連の著書を多く執筆・編集している高木道郎氏が、釣りでよくつかわれる「まずめ」という言葉について解説する。

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 釣りでよく使われる言葉に「まずめ」がある。朝まずめ、夕まずめ、という使い方をされるが、辞書には滅多に登場しない釣り用語である。ただ、『広辞苑』第六版には「まずめ」が「日の出と日没の前後。それぞれ朝まずめ・夕まずめといい、この時刻は魚が餌をよく食うとされ、好漁の潮時。まじめ。まずみ。」と比較的詳しく解説されている。

 釣り人はまずめではなく「まづめ」と書くことが多いようだ。これは「間詰め」という語源説に由来し、夜から朝までの間隔、昼から夜までの間隔を詰める時間帯を意味する。

 ただ、調べたところでは、本来は漁村などで使われる漁村用語らしく、「まじめ」や「まずみ」から転訛したもののようだ。

 日本語には時間による明るさの変化を細かく表現する言葉が豊富で、日の出前後、日没前後を意味する言葉はたくさんある。日没前後は逢魔(おうま)が時(とき)(大禍時)、黄昏時、誰(た)そ彼時(がれどき)、彼(か)は誰時(たれどき)、入(い)り方(がた)、入相(いりあい)、火点(ひとも)し頃(ごろ)、薄暮(はくぼ)、夕間暮(ゆうまぐ)れ、珍しいところでは、雀色時(すずめいろどき)、桑楡(そうゆ)などといった表現もある。

 いずれも薄暗くなって物の輪郭がぼやけ、見えにくくなる状態を意味している。

 物が見えにくくなるのは魚もいっしょ。人も魚も昼間は錐体(すいたい)という視細胞で、夜間は桿体(かんたい)という視細胞で物を見る。錐体は色を識別でき、桿体は自発光する物以外は色を識別できないが、明暗差(コントラスト)を識別できる。

 海中のプランクトンは浮き沈みに1~2時間を要するため、夕方に浮上をはじめて夜間に活動して夜が明けると沈む。魚の捕食範囲に浮くのは夕方から朝にかけてだが、夜はさすがに見つけにくい。そのため海面が薄明るく、下から明暗で見つけやすい朝まずめと夕まずめに集中的に捕食する。「朝夕の1時間は日中の5、6時間」はまずめを集中的に釣るのが入れ食いのコツ、との教えである。

■高木道郎(たかぎ・みちろう)1953年生まれ。フリーライターとして、釣り雑誌や単行本などの出版に携わる。北海道から沖縄、海外へも釣行。主な著書に『防波堤釣り入門』(池田書店)、『磯釣りをはじめよう』(山海堂)、『高木道郎のウキフカセ釣り入門』(主婦と生活社)など多数。

※週刊ポスト2013年9月13日号

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