未来の接着剤のヒント ツル科植物やフジツボ、ヤモリも研究

NEWSポストセブン / 2013年9月15日 7時0分

 日本を代表する接着剤メーカーのセメダインは、創業以来、「何でもよくつく」をテーマに、数々のモノとモノを接着させてきた。

 そんな同社をしても、現時点で達成できていない素材が、ポリエステル同士の接着だという。社歴45年目のベテラン・“接着剤博士”の異名を取る木村修司氏はこう語る。

「ポリエチレンの表面に塗装下地剤のプライマーを塗ったり、コロナ放電、プラズマ放電などという表面加工をしてから接着する方法はありますが、1液タイプの接着剤を使う方法は開発途上です。もし、この接着剤が現実のものになると、ノーベル賞は大袈裟だとしても、コストや工程の面で産業界全体に大きく貢献することができるはずです」

 他にも家電製品によく使用されるポリプロピレン、シリコン系のゴム樹脂、それにテフロンに代表されるフッ素樹脂、ポリエセタール樹脂などが同じ素材同士でくっつかない、くっつきにくい例として有名だ。

 木村氏は、「これらの素材の接着を実現させるのが急務の課題」と力説した──その日がくれば、製造や建築現場で接着剤がネジ、リベット、釘、溶接などにとって代わることもできる。

 一方、動植物から未来の接着剤を模索する動きもある。

「蔓(つる)科の植物やフジツボは、今までにまったくなかった接着剤のヒントになってくれそうです」

 例えば、キヅタという植物は、茎から無数の付着根を出し、高木や岩、石垣、壁などを這い登っていく。

「この根の接着力は実に強力で、無理に剥がしても、根はしっかりと残っています」

 キヅタの根からは、ナノ粒子の化学物質が分泌されている。その成分の分析・研究が進めば、新しいタイプの接着剤を生むきっかけになるかもしれない。

 海辺や船底に付着するフジツボの接着力も頑強そのもの。しかも、接着剤の多くが苦手とする水中で力を発揮している。

「水に強い接着剤が完成したら、水にかかわる様々な産業や研究、開発が大いにはかどります」

 さらに木村氏は、究極の接着剤についても語ってくれた。

「しっかりとくっつきながらも、剥がしたくなったら簡単に取り外すことのできる接着剤の完成を、この業界にいる誰もが夢見ているはずです」

 なるほど、強固な接着剤ほど剥がすのは困難なのは当然の話だ。ゴルフクラブも、修理やシャフトの交換といったオーダーに対応するため、数百度という高温状態にしてヘッドを外している。強力な接着剤ほど、家庭で剥がすのは不可能に近くなってくる。

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