「AKB48最大のライバルは今や『あまちゃん』」と中森明夫氏

NEWSポストセブン / 2013年9月13日 7時0分

 社会現象ともなったNHKの朝ドラ『あまちゃん』は、8月末に平均視聴率23.9%と番組記録を更新し、大ヒットとなった。なぜかくも多くの国民が夢中になったのか。『あまちゃん』とは日本人にとって何だったのか? アイドル評論家の中森明夫氏が語る。

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『あまちゃん』はNHK朝ドラ史上初のアイドルドラマだ。4月1日の初回から毎朝、生視聴してツイッターで批評している(まとめサイトは40万人超が読んでくれた!)。

 主人公のアキの前で親友のユイ(橋本愛)が「アイドルになりたい!」と叫んだ序盤の回に〈このドラマはアイドルの世界を変革する! これを批評しないで、私がアイドル評論家である意味がない〉とツイートした。〈中森明夫さん、スゴイ〉とリプライがあった。達増拓也岩手県知事だった!

 母の故郷である東北の海辺の街へ、東京から連れて行かれた娘アキは、祖母の指導のもと海女になることをめざす。ローカル人情ドラマとして始まった『あまちゃん』は、途中で様相を一変する。アキは親友のユイと共に地元アイドルとして脚光を浴び、GMT47なるアイドルグループの一員になるため上京する。アイドルドラマへと劇的に変貌するのだ。

 アイドルになれなかった母・春子を『なんてったってアイドル』の小泉今日子が演じているのが面白い。その小泉と薬師丸ひろ子の1980年代の2大アイドルが初共演した。『あまちゃん』には80年代アイドル映像がふんだんに流れる。中年世代にとっては、懐かしくてたまらない。

 主演の能年玲奈は今や国民的アイドル女優となった。80年代アイドルの回顧や、現在の地元アイドルの活況、AKB48に代表されるグループアイドルのブーム等、『あまちゃん』はアイドルというジャンルの古今の富を存分に取り込んでいる。

 そればかりではない。小泉今日子が役名の天野春子として、劇中の80年代ヒット曲『潮騒のメモリー』をCD発売、現実にヒットした。GMTやアメ横女学園らドラマ内の架空アイドルグループも次々と楽曲を発表、それらを収録したCDアルバムはオリコンチャート1位に輝いた。朝ドラ史上初の快挙だ。

 今年の紅白歌合戦は、“あまちゃん”勢に占拠されるとも言われている。アイドルが出演して、アイドルをテーマにした、だけではない。このドラマから次々と新たなアイドルが誕生している。AKB48の最大のライバルは、今や『あまちゃん』なのだ!

 3.11東日本大震災をテレビドラマで初めて描くという最大のクライマックスは既に終えた。『あまちゃん』のメッセージは明確だ。戦後日本最大の国難に対峙するのは、アイドルなのだ! この歴史的ドラマの最後を私は見届けたい。

『あまちゃん』が終わったら、どうしよう? 大丈夫。このドラマにもらったパワーによって、アイドルの世界はもっともっと盛り上がる。そう、希望は、アイドル! 希望は、能年玲奈だ!!

 バブル入社組がデフレ状況を突破する『半沢直樹』、80年代アイドルブームの活気が甦る『あまちゃん』――現代の両ヒット作品には共通項がある。強烈なキャラクターのドラマによって日本を元気にすることだ。アマノミクス×半沢イズムが好景気を呼び込む。じぇじぇ……の倍返しだ!!

【なかもり・あきお】1960年三重県生まれ。1980年代から編集者・コラムニストとして活躍、「オタク」「アイドル」の命名者。

※週刊ポスト2013年9月20・27日号

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