福本豊氏「今、現役やってたら簡単にタイトル獲れそうやな」

NEWSポストセブン / 2013年12月27日 7時0分

 プロ野球の黎明期、数々の伝説を作り上げた名選手たちが、もしも現代のグラウンドに降り立てばどんな成績を収めるか。今の球界への叱咤激励を込めた、“レジェンド”による大胆な“自己査定”。今回は福本豊氏(66)。福本氏は1969年阪急入団。シーズン106盗塁、通算1065盗塁、通算初回先頭打者本塁打43本は日本記録だ。

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 最近の先頭打者は、仕事を勘違いしとるんじゃないかな。打撃成績を残したいのか、どんどん早打ちをして、簡単にボール球で凡退してしまう。攻撃的野球だとかで、野球が変わったというが、僕はそうは思わん。
 
 先頭打者は塁に出てナンボ。安打なり四球、なんなら死球ででも出塁するのが仕事やから、本塁打なんか狙わない。僕の先頭打者弾が多いという人もいるけど、あれはフルカウントになって、たまたま振ったら本塁打になったというだけのこと。(バットの)ツボに嵌ればスタンドまでもって行ける自信はあったからね。
 
 先頭打者が早い段階から手を出して凡退すると、相手投手が楽になる。先頭打者は1球でも多く投げさせて、後ろの打者に見せてやらにゃアカンという重要な役目があるんよ。
 
 若い頃は、早いカウントで勝負して、先頭打者本塁打を打って大喜びして帰ってきたら、アホかと怒られたな。たとえアウトになっても、10球投げさせていれば、それはナイスアウト。今の選手は、相手投手を助けすぎやで。僕が今、現役やってたら、出塁率でも簡単にタイトル獲れそうやな。
 
 それに盗塁の数も減ったね。バリバリの若い選手たちでも、僕の全盛期の半分以下やもんね(2013年のNPB最高は陽岱鋼の47個)。試合数だって、僕より15試合近く多いのに。
 
 先頭打者はクリーンアップのお膳立てをする黒子みたいなもの。3番、4番が楽に打てるようにしてやるという役割がある。だから僕は出塁すると、とにかく走っていた。二塁へ行けばゲッツーはないし、福本の足なら、単打で楽に生還できるといわれたからね。
 
 だから、実は三盗は少ないんです(通算1065盗塁のうち三盗は123個)。三盗して失敗したら、何で走るんやと批判されたし、二塁への盗塁は滅茶苦茶マークされるけど、二塁から三塁は警戒されないから、わざわざ狙わんかった。やれば成功したと思うけどね。
 
 あとはケガに対する意識が低いな。僕がヘッドスライディングをやらんかったのも、ケガをしたら終わりやから。死球も少なかったんやけど(通算死球43。1試合当たり死球数は0.0179で、イチローは0.0454)、ほとんど逃げながら打つ技術を磨いてきたからね。
 
 ケガで引退、なんてことになったらアホらしいで。他の人は「惜しい選手やった」なんていうけど、誰も惜しいなんて思ってへん。レギュラーが1人減って喜ぶだけや。ケガをしないでいいプレー、というのが僕の目標やったのよ。

※週刊ポスト2014年1月1・10日号

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