開星元監督「21世紀枠に負けたのは末代までの恥」発言の背景

NEWSポストセブン / 2014年1月13日 16時0分

 2010年、春の選抜高校野球大会。21世紀枠で出場した和歌山・向陽が強豪を撃破した快挙は、敗れた島根・開星の野々村直通監督のコメントで吹き飛んだ。

「21世紀枠に負けたのは末代までの恥」「腹を切りたい」──。

 21世紀枠は、地方大会の成績に加え、文武両道やマナーなどの要素を考慮して選ばれるセンバツならではの出場枠。そのチームが前年の中国大会の覇者を破ったのである。外野から見れば痛快だが、当事者はたまらない。悔しさを必死で堪えていたという野々村氏が振り返る。

「一言もしゃべるまいと思っていたのに、囲み取材で面識のない若い記者が『どうしてしゃべらないのか』と詰め寄ってきた。お前に何がわかるのかとカチンときてしまい、あの発言になってしまいました」

 翌日、謝罪会見。学校には抗議の電話が鳴り止まず、2日後には監督を辞した。しかし野々村氏を慕う教え子や保護者も多く、監督復帰を願う約8000人の署名が集まった。翌年、監督に復帰すると、夏の大会でその年の優勝校、日大三(東京)を相手に激闘を演じ、今度は温かい拍手喝采を浴びた。この大会で定年退職、監督を勇退。

「最後の夏、選手たちは『男の花道』と書いた、お揃いのTシャツを作ってきた。私を甲子園に連れて行くという、熱い気持ちに感動させられました」

「末代までの恥」も「腹を切りたい」も、日ごろから命がけでプレーする精神論として叩き込んできた、武士道の影響から出たもの。

 いかつい角刈りにサングラス、ド派手なスーツという出立ちもあって、最近ではテレビにも出演し、教育評論家として熱弁を振るうようになった。昨年末までスポーツ紙で連載したコラムのタイトルはずばり『末代までの教育論』だ。

「高校野球の監督としては、苦い過去ですが、野々村個人としては勉強になったし、顔を知ってもらえたから、あれでよかったのかもしれません」

※週刊ポスト2014年1月17日号

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