【著者に訊け】清水潔『殺人犯はそこにいる』で事実を明かす

NEWSポストセブン / 2014年1月25日 16時0分

【著者に訊け】清水潔氏/『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』/新潮社/1680円

 メディアの仕事は「一つ一つ小さな声を、社会に広く伝えるアンプのようなもの」と、日本テレビ報道局・清水潔記者は言う。

「特に不条理な事件に巻き込まれた人の声なき声には、誰かが耳を傾けないと……。『FOCUS』時代、僕は桶川ストーカー事件(1999年)で亡くなった猪野詩織さんの名誉を何とか回復させたくて前作『遺言―桶川ストーカー殺人事件の真相』を書き、本書『殺人犯はそこにいる』では1979~1996年に栃木・群馬一帯で起きた連続幼女誘拐殺人事件の犠牲者の無念に背中を押されるように真相を追った。

 その過程では足利事件で有罪が確定していた菅家利和さんの冤罪の告発や無罪確定がありましたが、5つの事件が未解決である状況は何も変わってないんです」

 桶川事件で〈警察より先に犯人に辿り着いた「伝説の記者」〉は、足利事件を含む5件に関しても真犯人と思しき人物を特定していた。が、警察は本書が名指しする〈「ルパン」に似た男〉を逮捕しようとはせず、犯人は今もすぐそこで平然と暮らしているのである!

 事件報道には「広がるものと広がらないもの」があるという。『ACTION 日本を動かすプロジェクト』(2008年~)と題した大型特番でそれこそ世論や裁判所をも動かす清水氏は、ある時リストアップされた未解決事件の中から「横山ゆかりちゃん誘拐事件」(1996年)に〈まだ解決していなかったのか〉とマルをつけた。

「ゆかりちゃん事件は週刊誌時代にも取材しているんですが、改めて調べてみると、パチンコ店で幼女が誘拐されて殺害されるケースは思ったより少ないのに、栃木と群馬の県境になぜか集中していた。しかも足利市と太田市はほぼ同じ生活圏で、同一犯の犯行と考える方が自然でした」

 4~8歳の少女が姿を消した5件の事件。問題はうち一件が、菅家氏の無期確定で決着を見ていた足利事件(1990年)だったことだ。しかも公判では本人の自供とDNA型鑑定が決定的証拠とされており、連続性は断たれたかに見えた。が、何かがおかしいと現場に何度も足を運び、目撃者や捜査関係者に取材を重ね捜査の盲点に迫っていく。

「僕が現場に今も通うのは、そこで一人の人が亡くなった事実の重さに立ち返るため。警察のクラブ詰めの記者は捜査側の出す情報は正しいと思いがちですが、そうでない場合もあることに、いい加減気づかないと。

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