「明日、ママがいない」抗議騒動 スポンサーが納得する条件

NEWSポストセブン / 2014年1月26日 16時0分

 日本テレビのドラマ「明日、ママがいない」を巡って騒動が続いている。テレビドラマを制作してきた人たちは一連の動きをどう見ているのだろうか。(取材・文=フリーライター・神田憲行)

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コトの発端は1月15日放送の「明日、ママがいない」の第1回放送分で、芦田愛菜扮する主人公に親から離れた経緯を示す「ポスト」とというあだ名が付けられたり、三上博史扮する養護施設の施設長が「お前たちはペットショップの犬だ」と発言するシーンなどがあったこと。

 これに親が育てられない子どもを匿名で受け入れる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を設置する熊本市の慈恵病院が「預けられた子どもの気持ちを傷つけ、人権侵害につながる」と、放送中止を求めた。また全国児童養護施設協議会も日本テレビに抗議文を送付したという。

 日本テレビは「子どもたちを愛する思いも真摯に描いていきたい。ぜひ最後までご覧いただきたい」と、放送中止をする考えがないことを明らかにした。病院側の発表によると、チーフプロデューサーから「放送中止や施設の子ども、職員への謝罪の予定はありません」と電話で伝えてきたという。

 この問題についてネットでは、大まかに言えば「ドラマと現実をごっちゃにしてはいけない」「ドラマとはいえやりすぎ」と意見が二分しているようだ。

 では制作している人たちはどう見ているのか。脚本家の中にはこういう意見があった。

「ドラマとしては決して出来の悪いものではなく、三上博史の設定とか、子どもにバケツを持たせて立たせるなど、いまどき誰が見ても『嘘』だとわかるように、こんな養護施設は存在せず作り物感を全面に押し出している。病院側がそこまで目くじらを立てるのはナンセンスだ」

 病院側は今後、「放送倫理・番組向上機構」に審議を依頼する意向を示しているが、気になるのはスポンサーの動向だ。「人権問題」と抗議を受けたドラマについてどんな対応が予測されるのか。

「スポンサーはキレイ事好きなので、クレームについて神経質になるでしょう。ただ初回の視聴率が14.0%と、最近のドラマの中ではかなりいい。変な言い方になるが、この騒動でさらに上がることも見こまれる。そこに納得するかもしれない」(テレビ局関係者)

 しかし第2回は視聴率が下がり、スポンサーから降板する企業も出てきた。

 フィクションがどこまで現実に責任を持たなければならないか、難しい。しかし「赤ちゃんポスト」が設置されているのは国内では慈恵病院しかなく、容易に「モデル」が連想される。放送中止も謝罪もしなくとも、ドラマの制作関係者は同病院に電話ではなく直接赴いて、「真摯に」膝を交えて話あったらどうだろうか。そうすることでよりストーリーに膨らみがもたらされることもあるのではないか。

 日本テレビはドラマの放送前の12日深夜、「NNNドキュメント’14 」で 故・大島渚の幻のドキュメンタリー「忘れられた皇軍」を丸々放映して、ネットで高い評価を浴びた。私も見て感動し、今回の騒動と合わせて「同じ局でもドラマとフィクションでこんなにスタンスが違うのか」と、あらためてテレビというメディアについて考えた。もし大島渚がもしこのドラマを見たら、どのような感想を抱いたろうか。

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