中国温家宝・前首相 不正蓄財否定の書簡を出すも疑惑深まる

NEWSポストセブン / 2014年1月26日 7時0分

「私はいかなるときにも権力を濫用して不正を働いたことがない。いかなる利益も私の信念を揺るがすことができないからだ」──。妻や息子、娘ら親族の不正蓄財が報じられている中国の温家宝・前首相が最近、香港在住のジャーナリスト、呉康民氏に送った書簡の内容が公開された。書簡の形とはいえ、現役を引退した首相経験者が自らの身の潔白を訴えるのは、これまで例がない。

 それだけに、大きな話題を呼んでいるが、折悪しく国際的なジャーナリスト組織の調査によると、温氏の息子と義理の息子の名前がバージン諸島やサモアなどカリブ海のタックスヘイブン(租税回避地)に設立された企業や信託の顧客リストに掲載されていることが分かった。これが、不正蓄財疑惑という火に油を注ぐとなり、書簡の公表は逆効果になりそうだ。

 温家宝ファミリーの不正蓄財については2012年10月、米紙ニューヨーク・タイムズが報じており、その額は少なくとも約27億ドル(約2700億円)という莫大なもの。これについて、中国外務省は「事実無根で、悪意のある報道」などと反論し、温氏も自身に対する指導部の調査を要請するなど身の潔白を主張していた。

 ところが、同紙は昨年11月にも、温氏の娘の温如春氏(40)が北京で経営するコンサルタント会社が米大手投資銀行モルガン・スタンレーと顧問契約を結んでおり、年間90万ドル(約9000万円)の顧問料を得ていると報じている。

 これに対する温氏の反論が呉氏への書簡とも受け取ることができる。

 呉氏は自らがコラムを執筆している香港の中立系紙「明報」と会見。ニューヨーク・タイムズ紙など国外メディアによる温家宝ファミリーのスキャンダル報道について「証拠はない」と述べたうえで、政敵によるでっち上げだと強調した。さらに、呉氏は「改革派を誹謗中傷するため、計画的に世論を利用した攻撃だ」と主張した。

 ところが、英紙ガーディアン(電子版)は、その3日後の1月21日、国際的なジャーナリスト組織「ICIJ」が入手したコンサルティング企業2社の内部文書を基にして、習近平国家主席や温氏ら中国共産党・政府、軍の要人の親族、少なくとも12人が、タックスヘイブンとして知られる英領バージン諸島などに会社や信託を設立し、資産を隠し持っていると報じたのだ。

 この顧客リストのなかには、香港を含む中国在住者2万2000人の名前がリストアップされており、主な中国指導者の親族としては、習近平国家主席の義兄、胡錦濤前国家主席の甥、温氏の息子と義理の息子、李鵬元首相の娘らが挙げられている。

 ICIJは専門家の試算として「2000年以降、1兆~4兆ドルの資産が中国から租税回避地などの海外に移転された」と指摘する。習近平氏らの親族は米大手監査法人やスイスの大手銀行などに依頼して、タックスヘイブンに会社を設立して、資産を蓄財しているとみられる。これら欧米金融機関は中国共産党の高級幹部や資産家をターゲットに資産管理ビジネスを拡大しているとみられる。

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