「明日ママ」でデーブ氏「今後この題材で作れなくなる恐れ」

NEWSポストセブン / 2014年2月3日 7時0分

 親子の和やかなアニメーションから、「地球にちょうどいい暮らしを始めませんか」と呼びかけるAC(公共広告機構)のCMが、児童養護施設で生きる子どもたちを描いたドラマ『明日、ママがいない』(日本テレビ系、水曜22時)の合間に繰り返し流されている。それは1月29日の第3話で、提供スポンサー全8社がCMを自粛したからである。

 18本中10本がACのCM、そして最初から10連続で同CMが流されることになった。ちなみに、残りは番組スポンサーとは無関係の“スポットCM”(視聴率によって機械的に割り振られる)と呼ばれるものである。

「AC広告ばかり流れるのは、東日本大震災直後のCM自粛時期以来、初めてです」(日テレ関係者)

 同ドラマ放映開始以降、各方面に飛び火した『明日ママ』騒動。赤ちゃんポストで発見された過去を持つ少女(芦田愛菜)が「ポスト」、コインロッカーで見つかった少年(三浦翔平)が「ロッカー」と呼ばれる描写などが「施設の子どもたちへの偏見を生む」と批判されている。この騒動を受けてCMを自粛したスポンサー各社に事情を聞いた。

「CMを放送する環境として適切ではないと判断しました。ご意見は頂戴していますが、内容は『いろいろなご意見』としか言えません」(花王コーポレートコミュニケーション部門)

「弊社の方に視聴者の皆様からお声をいただきました。件数がどうというよりも社会的な反応が大きく、CM放送を見合わせました」(小林製薬広報部)

 やはりCMを自粛した日清食品、富士重工、エバラ食品、JX日鉱日石エネルギー、キユーピー、三菱地所も、「お客様の声」などを理由に挙げた。日テレは「重く受け止めているが(放送は)続行する」(大久保好男社長)というが、“全社CM自粛”が同局に与えた影響は計り知れない。

「スポンサーはすでに、番組提供の枠そのものを買い取っているから、CMを流さないからといって、局側が金銭的な損害を被ることはない。ただし一連の動きは、間違いなく制作現場へのプレッシャーになる。今後の放送では過激な描写を抑え、穏やかな印象になるよう、脚本などの修正を検討していると聞きます」(日テレ関係者)

 タレントであり、テレビプロデューサーでもあるデーブ・スペクター氏に聞いてみると──。

「あなたたちもまずいんじゃない? 『週刊ポスト』って名前、変えないと」

 芦田愛菜演じるヒロインと同じ名前が、抗議の対象になるのではという“デーブ流ジョーク”だが、今度は真面目な顔でこう続けた。

「私も番組制作に携わっているから知っていますが、クレームといったって視聴者全体からするとごく僅か。0.1%にも満たないんです。その声に従うということは、番組を何の問題もなく見ている多数の視聴者、つまりサイレントマジョリティを無視することになりますよ」

 実際に施設で暮らす子どもたちが可哀想──そんな声が寄せられていることはデーブ氏も承知しているが、だからこそ、と声を強める。

「今後、このテーマのドラマは作っちゃいけないことになりかねない。それは本当に施設で暮らしている子どもたちを“タブー”としてしまうようなものです」

※週刊ポスト2014年2月14日号

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