痴漢の冤罪対策として鉄道警察ではDNAの採取キットを常備

NEWSポストセブン / 2014年2月13日 7時1分

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法科学鑑定研究所内の鑑定ラボの様子

 最近話題のDNA鑑定。はたしてどこまで分かり、いかに正確なのか。科捜研や科警研のOBで構成され、映画『そして父になる』など、話題の映画やドラマの監修も務める日本最大の民間鑑定会社「法科学鑑定研究所」を取材した。

 99.9%──。大沢樹生と喜多嶋舞の実子騒動の中で、渦中の長男が見たとされるDNA鑑定書に記された確率だ。英語で書かれていたため、その数字が親子関係の有無、どちらを証明するものか、わからなかったという。

 しかし、法科学鑑定研究所の櫻井俊彦氏によれば、「もしそれが本物の鑑定書ならば、大沢と長男は親子関係ありの可能性が高い」という。親子鑑定でわかるのは、「99.9%親子関係あり」か「0%」のどちらかだけだからだ。

 父と息子の場合、男性にしかないY染色体のDNAを調べれば親子鑑定ができる。息子は必ず父親のY染色体を受け継いでいるからだ。ここで親と子のDNAの特定か所が一致しなければ、親子の可能性は0%。一方、一致した場合は99.9%以上、本物の親子と鑑定される。100%としないのは、DNAのすべての塩基対を比較しているわけではないからだ。

 では、鑑定はどこまで進化しているのか。まずは採取の方法だが、現在の技術では一般にいわれる毛髪(毛根)だけでなく様々なものから採取可能だ。口をつけるタバコの吸い殻や缶飲料、コップなどだけでなく、素手でモノに触っただけでも細胞は残り、最低限、細胞が3個取れればDNA鑑定が可能である。

 鑑定から200年以上前の親子関係が解明されたケースもある。マリー・アントワネットの息子、ルイ17世は10歳で獄死したため、子供はつくらなかった。しかしその後、「獄死したのは替え玉で、私は生き延びたルイ17世の子孫だ」と主張する者が現われた。そこで、アントワネットの遺髪とルイ17世の遺体の一部をDNA鑑定したところ、親子であることが証明され、替え玉説は否定された。

 日本でもある機関で、遺産相続の問題から300年前の江戸時代の武将の子孫かどうかが鑑定され、証明されたことがある。

 鑑定でわかるのは親子関係だけではない。サラリーマンにとって一昔前まで、満員電車は証言ひとつで痴漢に仕立て上げられる可能性がある怖い場だった。しかし、現在、鉄道警察ではDNA採取キットを常備している。相手女性の肌を直接触っていれば、指や手に女性の細胞が残るためだ。

 また、浮気の状況証拠にもDNA鑑定が活躍する。たとえば、奥さんが、夫が浮気したと思われる日のパンツを持ち込む。付着物の成分を調べ、奥さん以外の女性のDNAが検出されればアウトというわけだ。

 このように、鑑定はいま刑事事件の捜査だけでなく、様々なところで行なわれている。この研究所にも、最近、裁判や個人レベルの調査の依頼が急増しているという。

撮影■佐藤敏和

※週刊ポスト2014年2月21日号

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