製薬会社の闇 医師にカネ渡す営業で販売促進を図る慣習あり

NEWSポストセブン / 2014年3月3日 7時0分

 本誌・週刊ポスト2月21日号がスクープした国立大学現役教授による実名証言が大きな反響を呼んでいる。中国地方の名門国立大・岡山大学の森山芳則・薬学部長と榎本秀一・副薬学部長が、これまで厚いベールに覆われていた「製薬会社と大学医学部の癒着の現場」を初めて白日の下に晒したのだ。

 製薬会社から金銭的支援を受ける代わりに、大学の医学部教授らが臨床試験のデータを操作し、製薬会社に有利な論文を執筆するなど、不正論文が同大医学部内で横行している実態を生々しい証言で暴いたのである。

「ポストの発売当日、『どういうつもりだ!』と、岡山大のある教授から抗議の電話がかかってきました。長年、隠蔽されてきた不正に光を当てたため、大学内でも私たちを黙らせようとするプレッシャーは大きい。

 しかし、それ以上に多くの研究者や職員、学生、薬を服用している患者さんや一般市民の方々から激励をもらった。テレビ局や雑誌メディアなど、マスコミからの接触も相次いでおり、この問題に対する社会の関心の高さに驚いています」(榎本教授)

 本誌編集部にも雑誌発売後、「ウチの医学部にも同じような不正論文を疑われるケースがある」といった情報提供が複数寄せられた。医師が製薬会社と結託して、ありもしない薬効などを捏造した論文が全国的に乱発されている──。森山教授らの告発はまさにパンドラの箱を開けたといえる。

 患者を欺く不正論文の存在が公になったケースは過去も度々あった。2003年、昭和大藤が丘病院の腎臓内科に所属していた医師(当時)が、英医学誌に腎臓病の投薬治療に関する論文を投稿した。

 内容は、臨床研究の結果、慢性腎臓病患者には2種類の薬を併用する方法が有効だとしたものだったが、その後、海外の研究チームが併用投薬した患者で逆に腎機能が低下したケースがあると、論文の内容に疑義を呈した。

 その後の調査で、論文に引用されたデータと実際の患者の検査データが一致しなかったことなどが判明。2009年、結局、論文は取り下げられることになった。

 その時点では、実際の治療現場で論文が推奨する併用投薬が採用されていなかったことに、胸を撫で下ろすばかりだ。

 他にも、2012年には元東邦大学准教授の麻酔科医が国内外の専門誌に発表した193本の論文に疑惑が投げかけられ、論文の撤回に追い込まれるという事件もあった。いずれも「患者不在」の構図は変わらない。東京大学医科学研究所の上昌広・特任教授はこう指摘する。

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