超難関・難病扱う獣医の「専門医」制度 小動物外科医は2人

NEWSポストセブン / 2014年3月26日 7時1分

 愛犬が「町の獣医さん」では診療が難しい難病になった場合、どうすればよいか。最近では日本でも、こうした難病を取り扱う「専門医」の資格を持つ獣医師も登場し始めている。

 3月19日に発売された『犬の名医さん100人データブック』(小学館刊)によると、「専門医」の凄さは、自らの専門分野において世界レベルの高い知識と技術、豊富な経験を持っていることだという。

 1人の獣医師が全ての分野のスペシャリストになるのには無理があるし、効率的ではない。そこで、分野を絞って専門性を極めていったのが専門医だ。そのハードルは高く、たとえばアメリカでは、こんな難関を突破しなければならない。

 まず、大学卒業後に厳しい競争を勝ち抜いてインターンになった上で、専門医が常駐する病院でレジデント研修に挑む。そこで徹底した専門教育を受け、一般開業医が一生かけて診る症例数を数年間でこなすなどの経験を積み、さらに専門医試験や論文提出など複数の厳しい条件をクリアして、ようやく専門医の称号が与えられる。

 欧米ですでに広まっている専門医制度が、日本でも皮膚科、外科、眼科で始まった。日本初の「アジア獣医皮膚科専門医」の1人で、アジア獣医皮膚科専門医協会会長でもある岩崎利郎氏によれば、皮膚科の専門医制度は「北米では1970年代に、欧州では1990年代に」それぞれスタートしたという。

「最初は国内の学会から始まりましたが、国際的な上部組織(ボード)がないと世界では認知されないことから、1国家ごとではなく、米国とカナダからなる北米大陸、複数国家からなる欧州大陸と、大陸ごとに専門医制度は定着しています」(岩崎氏)

 専門医制度の必要性を感じた岩崎氏ら皮膚科の獣医師たちは、国際的に認められるために、まず、アジア獣医皮膚科学会とアジア獣医皮膚科専門医協会を設立。その上で、欧州皮膚科学会の会長らの審査を受け、2005年、岩崎氏と現在「どうぶつの総合病院」の診療統括部長である永田雅彦氏がアジア獣医皮膚科専門医に選ばれた。後に東京農工大学の西藤公司氏と「犬と猫の皮膚科」の村山信雄氏が選ばれたが、皮膚科における専門医は、日本にまだ4人しかいない。

 小動物外科専門医も、日本国内にまだ2人しかいない。2005年、獣医麻酔外科学会は外科専門医制度を確立するために、「小動物外科設立専門医」を認定。設立専門医は現在65名で、この設立専門医の指導の下の研修や試験に合格して初めて「小動物外科専門医」となる。

「獣医麻酔外科学会が認める研修施設で設立専門医の指導を受けなければならないなど条件や試験が厳しいことから、たった2人しか合格していません。米国在住の有資格者1人を加えてもまだ3人です」(設立専門医の1人)

 現在、日本国内における小動物外科専門医は、東京都新宿区の相川動物医療センターの相川武院長と日本大学生物資源科学部動物病院の枝村一弥整形外科長だけ。

 この他、眼科においては比較眼科学会が獣医眼科学専門医制度をスタート。東京都文京区のトライアングル動物眼科診療室の齋藤陽彦院長らが「獣医眼科学専門医」を取得。また、内科も皮膚科と同じようにアジア規模での専門医制度を検討しているという。

※『犬の名医さん100人データブック』(小学館)より

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