PM2.5深刻で「中国に残るのは貧乏人とバカと大気汚染だけ」

NEWSポストセブン / 2014年3月27日 7時0分

 中国ではこのところ、微少粒子状物質(PM2.5)などの大気汚染や水質汚染などの環境被害の深刻さが伝えられる。中国問題の専門家でジャーナリストの相馬勝氏が現地からその実態をレポートする。

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 中国では毎年3月開催の全国人民代表大会(全人代 ※日本の国会にあたる)や中国人民政治協商会議(政協)といった重要会議を「両会」と言い、全国から5000人以上の委員が北京に集まり重要問題を討議する。日ごろはごく一部の最高幹部の公式見解しか聞けないが、この両会期間中ばかりは、地方の人々の生の声が聞けるので、毎年北京に取材に赴くことにしている。

 今年の両会の焦点は環境汚染問題だった。特にPM2.5 などの大気汚染問題では政府の対策が後手に回っているとの声が多く聞かれた。

 とくに、今回の両会期間中の天気はほとんどが曇りで、しかもPM2.5 で黒く霞んでおり、風が強くないと晴れ間を拝めない有様だった。

 昨年は北京と上海を2回ずつ訪問したが、いずれもPM2.5 がひどく、帰国してから風邪のような症状を発して、2、3日寝込むのが普通になってしまった。

 北京は今回もひどいPM2.5 で、北京の知人は「汚染指数の最高値を500にすると300ほど」と述べていた。ずっと外を動き回っていたので、2日目の午前中には、のどがいがらっぽくなり、喉の奥で痰が絡んでいるのが分かった。午後には咳が出て、喉が痛くなっていた。3日目は咳が止まらず、鼻水まで出てきた。

 その日の夕方に帰国したのだが、今回の場合は帰国してから、PM2.5 と花粉症の合併症を発症してしまい、息をするのも苦しいほどの辛い思いをした。

 全人代でも多くの委員がPM2.5 問題を取り上げていた。周生賢環境保護相が「大気汚染はかなり好転した」と語ったことに対し、ネット上では2000人以上が書き込みをし、その92.8%が不満を表明したほどだ。全人代最終日の記者会見で李克強首相は「たくさんの人が朝起きると、PM2.5 の数値をチェックしている。これは生活上の重大な問題だ」と認めている。

 大気汚染と並んで、河川の汚染も深刻で、中国環境保護省は「中国の2億8000万の人々は汚染された水を飲んでいる」と報告。汚染された水を飲んで中毒症状を起こしたり、ガンなどの病気を発症している事例も多数報告されている。

 筆者も中国では必ずペットボトルのミネラル水を飲むことにしているが、市販のミネラル水にもニセ物が混じっており、油断できない。李首相は全人代の報告の中で、「赤ちゃんが飲む粉ミルクなどの食品の安全を確保しなければならない」と強調していたが、一国の首相が自分の国の食品の安全性を疑問視する報告をしなければならないところが状況の深刻さを物語っている。

 ある知人は「みんな中国で生活をしたくないというのが本音。できれば、家族と一緒に安全な外国で暮らしたい」と嘆いたが、実際問題として多くの富裕層や党幹部の家族は海外脱出している。「中国に残っているのは貧乏人とバカと大気汚染だけ」との冗談みたいな言葉がネット上に出ているが、これは冗談ではなく、まぎれもなく中国の現実だろう。

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