鳥インフル脅威再び 「ヒト感染起きれば重症化も」と専門家

NEWSポストセブン / 2014年4月15日 7時0分

 日本で再び鳥インフルエンザの脅威が増大している。4月12日から13日にかけ、熊本県多良木町の養鶏場で死亡した約1100羽のニワトリを遺伝子検査したところ、「H5」型の鳥インフルエンザウイルスが検出された。

 同県は速やかに約11万羽のニワトリの殺処分や、半径3~10kmでニワトリと卵の移動禁止を決定。その他、周辺の道路や車両の消毒作業など感染拡大を防ぐ対策が次々と取られている。

 ここまで緊張感が高まっているのには理由がある。鳥インフルエンザ情報に詳しい医学博士で、北海道・小樽市の元保健所長である外岡立人氏が話す。

「3年前に日本で感染が広がり、もっともよく知られている鳥インフルは『H5N1』型ですが、今年の1月に韓国の食用アヒル農場で確認されたのはH5N1が変異したとみられる強毒性の『H5N8』型で、熊本もこのタイプの可能性が高い。

 韓国ではアヒルだけでなく、ニワトリやウズラなどにも感染してあっという間に全土に広がり、その損害額は過去の鳥インフルの中で最大になっています。

 当然、日本でも渡り鳥などを介してH5N8が入ってくることは想定していたはずで、いよいよ現実のものになったことで、なんとか熊本だけで食い止めたいと考えているのです」

 もちろん感染地域が広がれば養鶏業者などへの被害は甚大なものとなるが、気になるのは鳥から人への感染、そして人から人へ感染する可能性である。今のところ韓国から“ヒト感染”の報告は出ていないものの、油断は禁物だ。外岡氏が続ける。

「ウイルスはある日突然出てくるもので、いつ変異して人に感染するか分かりません。韓国ではすでに食用の犬に感染して抗体ができていますし、鳥類以外でも哺乳類、人に感染する可能性は否定できません。もし人に感染したら重症化の恐れもあります」

 さらに、心配の種は韓国のケースだけにとどまらない。昨年3月に中国ではじめて人への感染が確認された「H7N9」型の鳥インフルは、重症患者が後を絶たず今年の1~2月だけでも感染者数は計226人いて、これまでに120人以上が死亡している。

 ただ、この数字はあくまで中国当局の発表によるもので、「高熱が出ても病院に行かない中国人は多いため、実際の感染者数は公表数字の数百倍ともいわれている」(中国に詳しいジャーナリスト)との恐ろしい予測が出ている。

「中国の鳥インフルは家族間で人から人に感染するケースが報告され、病院に来ている患者だけでも致死率は3割以上あります。症状としては高熱や咳による肺炎の進行で、急速に呼吸困難となって死に至ります。

 今後H7N9がさらに拡大すれば、日本と中国を行き来する日本人が感染する危険も高まるでしょうし、パンデミック(世界的な流行)が起きればその衝撃は季節性の新型インフルエンザの比ではありません。世界の人口が目に見えて減るぐらい死者が出てもおかしくありません」(外岡氏)

 安倍首相は熊本の鳥インフル発生確認後もゴルフを続けていたとして問題視されている。外岡氏は「環境省・農水省・厚労省と関係各省の連携が必要な時期なのに、危機意識が足りなすぎる」と警告する。

 過去の教訓も生かして国を挙げての情報収集や防疫対策が求められている中、あまりにも日本は鳥インフルエンザに無防備と言わざるを得ない。

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