亡くなる直前に蟹江敬三さん語った「あまり考えず現場入る」

NEWSポストセブン / 2014年5月17日 7時0分

 3月末日、胃がんのために亡くなった俳優の蟹江敬三さんに、昨年11月に映画史・時代劇研究家の春日太一氏は2時間に及ぶロングインタビューを行った。そのときに蟹江さんが発した演技に臨むときの気持ちについて、春日氏がつづる。

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 今年3月に亡くなった蟹江敬三には、本連載では1月に御登場いただいている。昨年の11月末にインタビューをさせていただいたのだが、その時は病を患っている様子は微塵も感じられなかった。決して饒舌な方ではなかったが、一つ一つの言葉を丁寧に選びながら的確にエピソードを語る姿に引き込まれていったのを今でも鮮明に覚えている。

 蟹江はいつも人間味あふれ、情感のあふれた芝居を見せてくれた。では、彼はどんな意識で演技に臨んできたのだろうか。それもインタビューで語ってくれている。

「台本をもらってまず考えるのは、外側のことですね。どんな衣装を着るのか、髪型はどうか、髭はあったほうがいいのか。あとはもう、あまり考えない状態でその現場にスポッと入るようにしています。現場で相手との呼吸を作っていくわけですから。

 島田正吾さんみたいに自分の芝居を作りあげて、相手にもこうしてくれっていうのは、なかなかできません。現場で柔軟性をもって相手役と芝居を作っていくしかありません。

 僕のモットーは『ひたむき』だけです。この歳になっても、とにかくひたむきにやるしかないと思っています」

●春日太一(かすが・たいち)/1977年、東京都生まれ。映画史・時代劇研究家。著書に『天才 勝新太郎』(文春新書)、『仲代達矢が語る日本映画黄金時代』(PHP新書)ほか新刊『あかんやつら~東映京都撮影所血風録』(文芸春秋刊)が発売中。

※週刊ポスト2014年5月23日号

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