風間杜夫 つかこうへい流の役者観をどんな芝居でも心がける

NEWSポストセブン / 2014年5月25日 16時0分

 映画『蒲田行進曲』やドラマ『スチュワーデス物語』など1980年代に人気作への出演で知られるようになった俳優の風間杜夫は、幼少期は雑誌の表紙を飾るほど活躍した人気子役だった。子役を辞め早稲田大学第二文学部演劇専修へ入学し、劇団を結成して演劇人として活動していた頃に出会った『蒲田行進曲』作者で演出家の故つかこうへいさんとの思い出を語る風間の言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづる。

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 風間杜夫は子役として東映時代劇を中心に出演した後、早稲田大学に進学して学生演劇に参加している。そして、大竹まこと、きたろう、斉木しげるらと劇団を作って小劇場で活躍するようになった頃、気鋭の演出家・つかこうへいと出会う。

「つかさんの所では『熱海殺人事件』とか『蒲田行進曲』とか、8年近くお芝居をしました。あの人との出会いで運命が変わったと思います。

 つかさんの舞台には台本がないんですよ。新作の場合、全て口立てなんです。稽古場に役者を集めて、『おい、ちょっと風間出ろ』『平田(満)出ろ』と言ったら、御自分で二人分のセリフを作っていく。僕たちはそれを何回もやりながら覚えていく。最終的には活字になるんですが、一か月の稽古の最後の一週間くらいまで口立てで、場面を作っては壊し、また新しく増やす。そういう繰り返しでした。

 そうしてつかさんは、風間杜夫なら風間杜夫に一番ぴったりなセリフを発想していたように思います。正義感や潔癖感とかいう良いとこばかりじゃなくて、僕の中にある、人を恨むとか、妬むとかいう、いじましい気持ち。それを全て晒せ、と。『とにかく人間の中にはあらゆるものが詰まっているんだから、それを全部出せ。で、お客さんに判断してもらえ』っていうのが、つかさん流儀の役者観なんです。

 そういう鍛えられ方をしていますから、テレビでもどんな芝居でも、役を一色で考えない、自分で勝手に限定しない。人間にはいろんな面があるということを心がけて演じています」

●春日太一(かすが・たいち)/1977年、東京都生まれ。映画史・時代劇研究家。著書に『天才 勝新太郎』(文春新書)、『仲代達矢が語る日本映画黄金時代』(PHP新書)ほか新刊『あかんやつら~東映京都撮影所血風録』(文芸春秋刊)が発売中。

※週刊ポスト2014年5月30日号

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