飼い主が犬の捻挫を疑うときは「ほぼ捻挫ではない」と獣医師

NEWSポストセブン / 2014年5月24日 7時0分

 ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバーなど大型犬に多い「股関節形成不全」や「前十字靱帯断裂」。痛みで歩けなくなると、犬はどんどん弱まり、ほかの病気を発症することもある。

 最近の獣医師の中には、歩行困難の犬が「歩けるようになる」だけでなく「華麗に走れるようになる」ことを目指して治療を行なっている医師もいる。整形外科を専門とする獣医師たちが、自らを除いて「整形外科分野で優秀と思われる」獣医師を選んだ結果、「犬の名医」たちの名が浮かび上がってきた。そうした医師が紹介されている『犬の名医さん100人データブック』(小学館)というムックも刊行されている。

「飼い主さんが『犬の歩き方がおかしいけれど、捻挫かな』と思った時は、ほぼ捻挫ではありません。悪い状態を放置しておくと、最後は人工関節手術しかないという事態になることも」

 こう警鐘を鳴らすのは、同書にも登場する神奈川県鎌倉市の『小川犬猫病院』の小川純也院長だ。小川氏はこう続ける。

「早い段階で発見した方が、治療の選択肢も多い。私は整形外科医として『犬が歩けるようになればいい』ではなく『犬が華麗に走れるようになればいい』と考え、治療に取り組んでいます。そのために、ほぼ毎年海外に赴き、最新情報を収集するとともに訓練を受け、世界の最前線で行なわれているハイレベルな治療法を持ち帰るようにしています」

 大阪府門真市の『ファーブル動物医療センター』の山口力整形外科院長は、犬の負担軽減を強く意識している。

「関節の疾患はレントゲンだけでは確定診断が難しいのですが、関節に入れる内視鏡の一種である関節鏡を使えば、確定診断ができ、さらにそのまま治療に移行できます。関節鏡による治療は、皮膚を大きく切るのではなく、小さな穴を開けての治療ですので、犬の肉体的な負担を減らことができます。少しでも痛みや合併症を減らし、機能障害を最小限にとどめることが大事だと思います」

 同様に関節鏡を使った負担の少ない治療を実践している『やまぐちペットクリニック東京動物整形外科病院』の山口伸也院長は、治療に加えて、感染症対策にも力を入れている。

「整形外科、神経外科は感染との闘いです。骨が感染を起こすと、血液が供給されないため、なかなか治りません。特に人工関節の手術では絶対的に無菌の状態が必要で、当院ではクリーンルーム用エアコンおよび陽圧換気システムを導入しています。これは手術室内の気圧を高くしておくことにより、室内から室外への空気の流れをつくり、外気が手術室に入ってこないようにするものです」

 同病院では、こうした感染防止のために国際的な研究団体で衛生についても学んでいるという。

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