『情熱大陸』Pが語る仕事の流儀 ひやっとしそうな質問する等

NEWSポストセブン / 2014年5月25日 16時0分

 1998年に放送が開始され、5月初旬には800回記念の特別企画がオンエア。17年目に突入した人間密着ドキュメンタリー『情熱大陸』(TBS系)の5代目プロデューサーとして活躍する福岡元啓さんが、『情熱の伝え方』(双葉社)を上梓した。

 就職氷河期に補欠入社で放送局にすべり込み、お荷物社員、窓際予備軍と崖っぷちを歩いてきた福岡さんが、経験から培ってきたバイタリティーとフットワークの秘密を明かす本書。

 この人気長寿番組のプロデューサーに就任するまでの、そして就任してからの、彼自身が体を張って身につけた仕事術が、番組制作の舞台裏とともに綴られている。どんな熱いエピソードが飛び出すかと思えば、意外にも、交渉失敗話や取材でうまくいかなかったトホホな話が多い。

「それしか書くことがなかったんですよ。イメージ壊してすみません」(福岡さん・以下「」内同)

 番組の放送時間はわずか30分。取材対象が超有名人であれば、当人も気づいていなかったような意外な一面をすくい上げ、まだ無名な市井の偉人であれば、その凄みを際立たせる。

「企画は月に100本は集まります。そこから、“今見るべき人、今知ってほしい人”を選んでいく。歴々の先輩プロデューサーのような目利きではないけれど、報道出身の強みで、タイムリー感のアンテナやフットワークのよさからくる、カンみたいなものはあるのかなと思っています」

 その時放送することに価値があるかどうかにこだわる。

「イベントが中止になった、代表選考から落ちたなど、予想外の状況になりオンエアを差し替えるか否か考えることも。編集もギリギリまで粘るので、“今週、やばい”と思うことはしょっちゅうです」

 制作の現場は、決して和気あいあいとした雰囲気ではない。

「むしろギスギスしてますよ。“おれはこう思うけど、おまえはどうなんだ”って侃々諤々(かんかんがくがく)。逆に、沈黙がずーっと続くときも。清濁併せのんで、“この部分で同意できればいいよね”という、運命共同体に近い感じです」

 星野源や綾野剛など、いわゆる旬な人物の回は、もちろん視聴者からの反応が大きい。だが、無名であっても、予想以上の反響を生む回もある。

「アメリカのスター発掘番組で1位を勝ち取ったパフォーマーの蝦名健一さんや、北海道の鮨屋『一幸』の工藤順也さんなどはそうでした。番組を作る上で、30分に1か所でも、見ている人が“へえ~”と思う部分を撮れるかが勝負。極論をいえば、そのワンシーンのために30分すべてをかけたと思われればいい。なので、それを撮らせてくれない人は、たとえ時の人でも撮影を断念します」

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