フジの月9「HERO」 高視聴率はキムタク1人の功績ではない

NEWSポストセブン / 2014年7月21日 16時0分

 フジ月9に久々のポジティブサプライズである。作家で五感生活研究所の山下柚実氏が指摘する。

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 木村拓哉主演のフジテレビ「HERO」(月曜21時)。初回視聴率は26.5%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と超好発進。早々に「『半沢直樹』人気を超えるかも」と期待の声まであがっているそうです。

 最近、視聴率低迷のフジテレビ。全社員の約3分の2を異動という大改革を断行し背水の陣で「視聴率奪還」に走るさ中。さぞやこの数字に、喜びの涙を流したのでは。

 でも、単なる「ご祝儀相場」ではないと私は思います。前作「安堂ロイド」「宮本武蔵」あたりまで、たしかにキムタクはもう終わった感が漂っていました。演技はワンパターン、劣化ばかりが目立ち、あの長髪は観ててつらいと酷評されていた。「キムタクはもういいよ」感が立ちこめていた。

 けれども、「HERO」は、明らかに違いました。キムタクのキムタク感が、「快」につながっていく。キムタク独自の「キムタクテイスト」を、プラスに活かすことに成功している。「よろしこ」という、人を食った久利生検事のあの挨拶も、ちっともイヤじゃない。

 なぜ、このドラマのキムタクは、「おわこん」風に感じないのでしょうか?

 画面がめくるめく切り替わっていく、スピード感。シーンが次から次へと気持ち良く流れていくストリーミング的快楽。その流れに、上手に乗りきれているキムタク。「HERO」というドラマで、キムタクは自分が何をやればいいのか、どんなキャラなのかしっかりと把握できている。だからこそ、「プラス面」が次々に出てくる--そんな善循環かもしれません。

 ポイントは、高視聴率がキムタク一人の功績ではない、という点にあります。演出、役者、脚本の三位一体。役者の動線、台詞の順番、微妙なタイミング、劇的に見える立ち位置まで、絶妙にバランスしているドラマ作り。

 広角レンズから望遠レンズまで使った、多彩な画角の切り取り。天井から、四方から、アップにバストアップと、次々に切り替わる視点。スピーディーなカット割りと編集。制作サイドの運動神経を感じてしまう。センスと遊び心を感じてしまう。

 配役のバリエーションも、実に豊か。吉田羊の切れ味と色気がいい。北川景子の目力がいい。濱田岳のボケぶりがいい。質の違ういろいろな素材をずらり配置して見せる面白み。次々と現れる登場人物が奏でる複雑なハーモニー。

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