危険ドラッグ「規制や罰則強化だけでは撲滅できない」と識者

NEWSポストセブン / 2014年8月2日 16時0分

 それにしても、こうしてニュースの見出しを並べてみると、国を挙げて危険ドラッグ撲滅モードに突入している勢いの程がわかる。ご存知の通り、「危険ドラッグ」は化学構造の一部を変えた新しいブツが容易につくられるため、いくら違法指定してもキリがない厄介な薬物だ。また、覚せい剤や大麻と違い、規制物質の有無を確かめる簡易検査キットがなく、現行犯逮捕ができないともいわれている。

 けれども、この夏の「危険ドラッグ」ニュースを見ている限り、そんな「法律の限界」なんか関係ないかのごとくである。実際、何人も所持容疑で逮捕しまくっているし、ドラッグ工場も摘発しているし、ドラッグでよろよろ運転している者は過労運転を禁止する道交法を適用して現行犯逮捕できているのだ。国や警察がその気になれば、やりようはいろいろなのだ。

 そしてそうした成り行きを、われわれ一般は、別段、おかしいとも思わずに眺めている。逆に「こんなに騒がれているのに、ドラッグやって車運転とかバカだよね」と嗤っている。

 たしかにこの騒ぎの中でラリって事故をおこしている連中はバカだ。バカどもをあの手この手で捕まえ、ドラッグ店の立ち入りもどんどん行い、生産工場を突き止め次第つぶしにかかることは、多少権力の暴走気味なところがあったとしても、現在の国民感情に背くものではない。なんたって、モノによっては覚せい剤を超える毒性がある「危険ドラッグ」なのだから、それは国を挙げて撲滅して当然だ、という空気が濃厚だ。

 しかし、である。この拙稿を書くにあたって小調べをしていくうちに、意外なデータが目にとまったことは明記しておきたい。

 2013年10月に厚生労働省が国立精神・神経医療センターに委託して実施した「飲酒・喫煙・くすりの使用についてのアンケート調査」では、「危険ドラッグ」の生涯経験率は0.4%と算出されている。ここでいう「生涯経験率」とは、全国の15歳から64歳のうち、これまで生きてきてその薬物を使ったことのある人の比率だ。調査では、有効回答数2948人中、「危険ドラッグ」を1回でも使用したことがあったのは12人だった。

 これは正直、「思ったよりずっと少ない」という印象を私は抱いたのだが、いかがだろうか。ニュースで伝えられる世の中は、「危険ドラッグ」まみれのヤバい世界に映るのだけれども、現実社会はそこまでひどくなく、まだまだごく少数の人々の問題といえるのではないだろうか。

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