呉善花氏「日本は韓国との関係改善急がず少し距離置くべき」

NEWSポストセブン / 2014年9月13日 7時0分

 ひとたび「親日家」のレッテルを貼られた韓国人は祖国と同胞から激しく迫害され、終生、地位と名誉が回復されることはない。執拗な嫌がらせは時に家族や親族にも及ぶ。日本での言論活動で迫害対象となった、拓殖大学教授の呉善花氏が自身の体験を明かす。

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 1983年、留学生として来日した私は、テレビ番組の依頼で新宿・歌舞伎町の韓国人ホステスを取材し、後にそれを『スカートの風』という本に纏めた。韓国人ホステスの生き方を題材に韓国社会の病巣に迫ったこの本は日本で大反響を呼びベストセラーになった。それが韓国人の怒りに火をつけた。「韓国の恥部を晒した呉善花は悪魔に魂を売った売国奴だ」と。
 
 その後、私が本格的に言論活動を始めると、韓国メディアのバッシングは日増しにエスカレートしていった。そのすべてが低俗な人格否定で「呉善花は日本右翼に買収された現代の従軍慰安婦」と口汚く罵るジャーナリストもいた。ある大手新聞に「呉善花は実在の人物ではなく著者は日本人」というデタラメ記事を書かれたこともある。
 
 裏取りもせず記事を書いたこの新聞記者に抗議をすると、「日本人に向けて韓国の悪口を言うとはどういう神経だ」と逆に責め立てられた。「卑劣な売国奴・呉善花」を印象付けるためなら記事をねつ造することも厭わない。これが韓国メディアの正体だ。当時、日本駐在の韓国人特派員の間では「呉善花を殺す会」が作られていたと聞く。「殺す」は社会的抹殺を意味するが、いずれにしても尋常ではない。
 
 また、あるシンポジウムで「小さいころから慰安婦という言葉は聞いたことがない」と発言したところ、韓国紙で「呉善花は『従軍慰安婦はいなかった』と証言した」とすり替えて報じられた。
 
 この記事が出た直後、韓国・済州島の実家から国際電話が入った。聞けば、国家安全企画部(諜報機関=現・国家情報院)の要員2人が夕飯時の実家に現われ、家族を尋問したという。 
 
 彼らは「身元調査」という不可解な名目で、親戚の家など計5か所を訪れた。当局による嫌がらせであることは明白だった。

 ネットの発達とともに「売国奴・呉善花」の虚像が独り歩きし、私の著作を一度も読んだことがない人からも「犬畜生の呉善花をぶっ殺せ」「公開処刑しろ」「呉善花の父母、子供まで三代を殲滅しろ」と罵詈雑言を浴びせられるようになった。
 
 極めつけは、日本国籍を取得し日本に帰化した私に対する韓国当局による2度の入国拒否だ。1度目は盧武鉉政権時の2007年。母の葬儀のため済州島に向かった私は空港で何の前置きもなく入国拒否された。この時は日本の外務省ルートを通じた話し合いで葬儀の出席のみ許されたが、滞在中も当局は監視の目を緩めなかった。

 2度目は朴槿恵政権下の昨年7月。甥の結婚式出席のため韓国に向かった私は仁川空港で再び入国拒否に遭い日本に強制送還された。いずれも明白な理由は示されなかったが、青瓦台(大統領府)の意向であることは間違いない。
 
 韓国には「手は内側に曲がる」(外には向かないという意味)との諺がある。韓国人の強い身内意識を表わすものだ。「民族は家族」であり、家族を貶める者は国ぐるみで排除、抹殺される。「親日言論」の封殺が「愛国行為」と称賛される国に常識は通じない。日本は関係改善を急がず、韓国と少し距離をおいたほうがよいかもしれない。

※SAPIO2014年10月号

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