花子とアン 危うさ抱える吉高由里子を仲間由紀恵が牽引した

NEWSポストセブン / 2014年9月18日 16時0分

 ほどなく大団円を迎える朝ドラ。視聴率も話題性も及第点を大きく上回ったといえそうな今作だが、作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が「功労者」について分析する。

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 年末のNHK「紅白歌合戦」で、朝ドラ「花子とアン」に出演中の女優・仲間由紀恵さんが司会役を打診された、というニュースが流れました。それに対して仲間さん側は、「ヒロイン役の吉高由里子さんとの“司会共演”を希望したい」と返したのだとか。この短いニュースが、いよいよ最終回に近づいた「花子とアン」を、一気に総括した--そう感じたのは私だけでしょうか?

 吉高由里子が演じる、主人公の花子。仲間由紀恵が演じる、腹心の友の蓮子。この朝ドラは「花子とアン」ではなくて、実は「花子と蓮子」という二人の対比の中に展開したドラマではなかっただろうか、と思います。

 もちろん、本来はそうではなかったはず。「村岡花子」という主軸は明確だったし、『赤毛のアン』という偉大な作品に関する様々なエピソードが盛り込まれるのは自明のこと。大翻訳家の「波瀾万丈の人生」こそが筋のメインだった。

 ところが、蓮子のキャラクターが回を追うごとに膨らんでいき、いわば「脇役」が存在感を増し、その人がらみのエピソードに視聴者は目が離せなくなり……。望まない結婚、炭坑王の夫・伝助とのからみ。息子との言い争い、花子とのぶつかりあい、友情のほころび。私自身も蓮子の表情にぐぐっと引き寄せられ、画面をじっと凝視してしまいました。蓮子を演じたのはそう、仲間由紀恵。彼女の表情の中に、人が生きる複雑さというものが見てとれたからかもしれません。

 台詞の無いシーンでこそ、際立つ演技力。目が切々と語りかけてくる。絶望とかすかな希望とが、ひとつの顔の中に交錯している。そんな蓮子に釘付けになってしまう。一方で、花子のキャラクターは?  花子がしゃべるシーンになると、視聴者の私はつい別のことを始めてしまう。忙しい朝の時間帯、お皿を洗ったりコーヒー淹れたり、仕事の準備をしたり……「ながら視聴」にシフトしてしまう。

 もちろん、花子役・吉高由里子さんもきっと頑張ったことでしょう。しかし、根本的なところで「悲劇」がおこっていたのかも。吉高さんのサバサバした軽やかな今様キャラは魅力的。だけれど花子を演じるとなると、どうにも翻訳者・言葉を扱う文学者に見えてこない。静的、内省的でコツコツと辞書を引き文章に向き合う人物には……。

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