海援隊 100万枚ヒット曲を出すも天国から地獄に真っ逆さま

NEWSポストセブン / 2014年11月22日 7時0分

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デビューから42年となった海援隊のメンバー3人

 10月8日に、13年ぶりとなるオリジナルアルバム『去華就実』をリリースした海援隊。11月9日には、福島県田村市文化センターで『海援隊トーク&ライブ2014』を行なった。

 当日午前10時東京発の東北新幹線で郡山駅に降り立ち、そこから車で40分。昼食をとり、1時間の昼寝タイム後に始まったリハーサルは、一曲、一曲、確かめるように進んでいく。ボーカル・武田鉄矢(65)が語る。

「この会場のキャパは800人。武道館に比べたら随分小さいけれど、どんなに小さな会場でも、僕らは呼んでいただけたらどこにでも行く。テレビでも同じで、懐かしのフォーク特集でもなんでも、聴いてくれる人が喜んでくれるならそこで歌う。でもね──」

 ここまで話したところで、武田のハーモニカを持つ手がかすかに震えた。

「心の真ん中には、思い出になってたまるか! というのがあるんですよ」

 リードギターの千葉和臣(62)とリズムギターを担当する中牟田俊男(65)。3人のクルーで船出した海援隊は、チューリップや井上陽水、甲斐バンドなどビッグアーティストを輩出した博多のライブハウス『照和』で、泉谷しげるに見出され1972年にデビュー。桜田淳子、山口百恵が相次いでデビューした翌1973年の暮れに、『母に捧げるバラード』を発表し、100万枚を超えるセールスを記録した。

「当時はビートルズを語るやつがいっぱいいて、僕もわかったふりをしていたけど、本当はどこがいいのかさっぱりわからなくてね(笑い)。それより、歌の中に語りや演劇性を投げ込んだ三波春夫が大好きだったんです。あれをフォークでやったらどうなるんだろうって、考えただけでわくわくしてきちゃって。ただ、それを面白いっていってくれたのは、千葉と中牟田だけだったんですけどね」

 白い歯をのぞかせた武田の右隣りで千葉が、「なんか、楽しそうだったんですよね」とつぶやくと、左に立つ中牟田も、「それを追いかけてみてもいいかなと思って」と、はにかんだ。

 しかし、本人たちが”売れている”と実感できたのはわずか4か月ほど。その後は、井上陽水、荒井由実、小椋佳、小田和正というニューミュージックの潮流に飲み込まれていった。

「天国から地獄に真っ逆さまってやつです。どこの会場も超満員で“これ全部、俺達の客だ”と喜んでいたら、ある日、スッと影が差し始めて。あれっと思ったときには、その影がどんどん拡がっていた。『あんたが大将』が売れるまでの4年間は、ドン底を這いまわっていましたね」(武田)

 仕事は月に1本あればいいほう。見栄も外聞も捨ててキャバレーで歌ったり、時には、地方の流水プールの脇で歌ったこともあった。

「水着のおねえちゃんがいっぱいいると喜んだけど、歌っても歌ってもお客は流れていくばかり。いったい、誰に向かって歌っているんだと(笑い)。哀しい思い出ばかりですが、あの時代があったから今がある──そう思っているんです」(同前)

◆海援隊13年ぶりのオリジナルアルバム『去華就実~花散りて次に葉茂り実を結ぶ~』は絶賛発売中(通常版・3000円+税、アルバム未収録シングル8曲を含むデラックス版・4000円+税)。

撮影■二石友希

※週刊ポスト2014年11月28日号

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