早期の発見で認知症を予防する 脳ドックでの「脳萎縮検査」

NEWSポストセブン / 2015年1月2日 7時0分

 最近、物忘れがひどい、ひょっとして認知症ではないか? こんな不安を持つ人の受診が増えているのが脳萎縮検査だ。ここで注目されているのが「脳ドック」である。

 脳ドックとは、MRIやMRAなど画像診断機器を使い、脳内の血管の状況を観察、脳梗塞や脳動脈瘤の有無、血管狭窄や血管の閉塞などを診る検査だ。本来は、くも膜下出血の主な原因である脳動脈瘤発見のために始まったが、近年は人間ドックの一環として受診する人も増えている。

 新百合ケ丘総合病院(神奈川県川崎市)の笹沼仁一院長に話を聞いた。

「脳ドックは、血管系を診るのに意味があったのですが、物忘れが気になるので受診するという方が増えてきました。そこで脳ドックのオプションとして始めたのが、脳萎縮検査です。MRI画像で脳が萎縮しているかどうか見るだけでなく、解析ソフトによって海馬の萎縮を数値化することができるようになっています」

 脳萎縮検査は、通常の脳ドックにおけるMRI撮影より細かく撮影する。この画像を3次元処理して立体的にモニターに投影することで、自分の脳の状態を見ることができる。さらに記憶力検査などで正常と判定された50代、60代、70代のデータを基に、その海馬の体積を比較して萎縮の程度を判定する。検査対象は50代以上となっているが、40代での検査希望も増えている。元データが50代以上であるため、結果にばらつきが出る可能性もある。

 萎縮の程度は、数値で表わされ、1以下は萎縮していない、つまりは正常範囲という判定になる。2以上の数値が出た場合には、物忘れ外来など専門外来で記憶力検査を含めた精密検査をするよう指導される。

 問題は、1.5や1.7といった2以下のボーダーラインにいる人だ。脳の形は個人差があるので、数値で2に近いものが出たとしても、例えば脳のしわが深く、結果、脳がへこんでいるように見える画像になる場合もある。

「ボーダーラインの方の場合は、元の画像データを見直して判断します。物忘れや認知症の可能性を疑って検査を受けている方が多いので、総合的に判断することが必要です。場合によっては、脳血流検査を実施することもあります。ボーダーの方は、経過観察として、定期的に検査を受けていただいています」(笹沼院長)

 この施設での脳ドック受診者は年間約1000人で、そのうち約20%が脳萎縮検査を受ける。その中で2以上の判定を受ける人は、数人程度とかなり少ない。しかし、ボーダーラインの判定を受ける人はけっこういる。この時点で見つかれば、認知症の予防にもつながる。

 生活習慣病は、認知症の発症リスクといわれる。そのため生活習慣病の治療が、認知症予防の第一だ。高血圧や糖尿病などの治療を行ない、数値を正常にコントロールすることが基本である。さらに家に閉じこもらず、他人と積極的に付き合い、趣味にいそしむなど、脳を活発に動かすことも重要な認知症予防だ。

■取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2015年1月1・9日号

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