3大チェーンが1年で2回ずつ価格改定 牛丼は日本社会の縮図

NEWSポストセブン / 2015年1月4日 16時0分

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今年も牛丼界から目が離せない

 牛丼は今や日本の世相を映す鏡である。2014年、大揺れに揺れた牛丼界は2015年も注目の的であることは間違いない。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が語る。

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 2014年も日本は肉ブームに沸いた。牛丼も例年通り話題になったが、「肉ブーム」とは少し違う文脈だった。そこからわかったことは、さまざまな意味で牛丼は日本を”象徴”する食べ物だということだった。

 もともと牛丼業界は何かと話題にのぼりやすい。安価で身近なファストフードであること、そのため価格やメニューが世情に左右されやすいこと、吉野家、松屋、すき家という3大チェーンの寡占市場であり、メニューに変更があった際には広範囲で話題になる。

 まず2014年の各社の牛丼(牛めし)並盛りの価格の推移を見ていこう。年明けは、3チェーンとも前年末の価格どおり、1杯280円でスタートした。一度目の転機は4月の消費税増税だった。それまでの5%が8%になり、まずここで各社の対応が割れた。

 どこより早く価格改定に動いたのは、店舗数がもっとも多いすき家だった。しかも増税だというのに10円値下げし、並盛り=270円とした。増税でサイフにゆとりのなくなる層を総取りして、客数を伸ばす狙いがあったという。もともとすき家は”御三家”のなかでは、定常的に牛丼を最安値で提供してきたこともあり、他社が値上げに踏み切るなか、世間へのインパクトを狙う、ある意味では「らしい」選択だったとも言える。

 もっとも8月には291円へと値上げを選択することになり、その上、”ワンオペ”に象徴される労働問題も発生。これを契機に他チェーンでも24時間営業から撤退する店舗が出現し、自チェーンだけでなく牛丼業界の常識を打ち破るきっかけまでつくってしまった。

 次に価格改定を決定したのは吉野家だった。こちらは増税分の10円(正確には8.7円)ではなく、20円を値上げして300円に。増税以外にも円安など複数の値上げ要因があったが、その中で肉質の改善などに「20円」の理由を盛り込んだ。ところが、4月時点で1米ドル=102円前後だった為替レートが夏以降、急激な円安に。松屋などが比較的通貨レートの変動がゆるやかだったオーストラリア牛なども含めた原料仕入れを行うなか、「米国産牛」にこだわる吉野家は円安の直撃を受ける。

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