アメリカの日本盗聴 情報を奪われる方が間抜けと落合信彦氏

NEWSポストセブン / 2015年9月16日 16時0分

 アメリカの情報機関が日本企業や日本企業に盗聴を仕掛けていたことが明らかになった。ジャーナリストの落合信彦氏は「インテリジェンスの世界に友人はいない。情報を簡単に奪われるほうが間抜けだ」と指摘する。その真意はどこにあるのか。

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 我が国のインテリジェンスに対する感度の低さがまたも露呈した。アメリカの情報機関・国家安全保障局(NSA)が日本政府や日本企業に盗聴を仕掛けていたことが明らかになった件である。この一件は、内部告発サイト「ウィキリークス」が7月末に公表した内部資料で公になった。

 資料によれば、NSAは第1次安倍政権の2006年ごろから、日本政府の部局や大手企業などの35回線を盗聴。さらにウィキリークスは、盗聴で得た情報をもとにNSAがまとめたとされる5つの機密文書も公表した。

 そこに書かれていたのは、2007年4月の安倍首相訪米を前に官邸と外務省などの間でやりとりされていた情報を分析したものだった。そこでは安倍政権が当時検討していた温室効果ガス削減目標について「アメリカの反対を見据えて、事前に知らせないことを考えているようだ」と分析されていた。

 要するに、日本の出方はすべてアメリカに筒抜けだったのだ。

 安倍首相は盗聴されていたことを受け、国会でこう発言した。

「仮に事実であれば、同盟国として遺憾である」

 馬鹿げているというほかない。私がかねて指摘してきたように、「インテリジェンスの世界に友人はいない」というのが世界の常識である。安倍だけではない。他の政治家たちや、新聞、テレビも「同盟国に対して盗聴するなど言語道断だ」といった論調で大騒ぎしていたが、まるで“子供の論理”だ。

 世界では、同盟国であるかどうかなど関係なく日々、諜報活動が行なわれている。実際に、アメリカとイスラエルは政治・外交の上では日米以上に深い関係にあるが、CIAとモサドはお互いに激烈な諜報活動を繰り広げている。日本はこうした世界の常識がまったくわかっていないから、やられ放題になってしまうのだ。

 今回アメリカが盗聴していた日本のターゲットは、官房長官秘書官、経済産業大臣、財務省、内閣事務局の交換台、三菱商事の天然ガス担当部署、三井物産の石油担当部署などだった。さらに、日銀総裁の電話や日銀職員の自宅の電話なども盗聴されていた。

 ある大臣は記者たちを前にオフレコで「そこまでやるのか。卑怯だ」と憤っていたという。が、NSAやCIAは「そこまでやる」のだ。「卑怯だ」というのも間違っている。情報を簡単に奪われるほうが間抜けなのである。悔しかったら諜報機関を設けてみろと言いたい。もっとも今の日本に世界を網羅する諜報機関を作れるわけはないが。

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