安全第一の運動会で今なお進化する「人間ピラミッド」の是非

NEWSポストセブン / 2015年10月10日 16時0分

 運動会における「人間ピラミッド」の是非が話題になっている。過去には生徒の死亡事故も起きていた。教師の自己満足なのか、教育効果は本当にあるのか。コラムニスト・オバタカズユキ氏が考える。

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 最近は春に行う学校も増えているが、10月12日は体育の日だ。この連休では運動会が各地で開かれているはずである。

 その運動会で人気のある演技種目の人間ピラミッドが、今、問題になっている。先月の27日に大阪府八尾市の中学校の運動会で、1年生から3年生までの男子生徒157人が作ろうとした高さ10段の人間ピラミッドが崩れ落ちたからである。

 結果、下から6段目を担当していた1年生が右腕骨折、他5人が打撲を負った。だが、コトが大きな問題化したのは、そうしたケガ人が出たこと以上に、ピラミッドの構築と崩壊の状況を鮮明にとらえた動画がネット上に出回って炎上したことによる。同じ内容の動画はまだ視聴できるはずだから、探し出して是非見ていただきたい(保存すべきである)。

 ドドドド、ドドドド、ドドドド、という太鼓のリズムと、女子生徒や父兄ら観客席からの主に黄色い大声援。それらをバックに、白Tシャツに青ズボンの男子生徒たちが、ハイスピードで立体ピラミッドを作っていく。人間が人間を踏み台にしてロッククライミングのように昇りながら、着実に三角錐状のかたまりを巨大化させていく。へー、今どきの人間ピラミッドはここまで進化しているのかー、と見ている私は目を見張る。

 動画でも、7段、8段目まではスムースに人間が積み上がっていった。難度が高く、失敗することも多いからか。9段目ぐらいから声援が一際大きくなってきた。そして、てっぺんで掲げるつもりだったのか、丸めた旗(校旗?国旗?)をたすき掛けした最後の生徒が、大人の背丈の3倍以上ありそうな頂に向かった。8段目までは順調に昇って行った。

 だが、9段目を築いている2人の背中に乗ろうとするも、かけた左足がすべってうまくいかない。ピラミッド全体がぐらりとゆれた。見ている方もヒヤッとした。それでもどうにか両の足を乗せ、9段目の者の肩を掴んでいる手を放して立ち上がろうとしたその時、ピラミッドが崩壊。最上部が最下部の中心部に落下するような形で一気に崩れた。

「これ、やばいだろっ」。パソコン画面を前に、思わず私は声をあげた。観客席の歓声も悲鳴に変わった。だが、失敗したケースも想定した練習を重ねてきた成果だろう。崩壊から間もなく、ピラミッドづくりをしていた男子生徒たちは足早に移動、整列。最後にうつむいた2人の生徒が教師らに支えられながら退場する際には、会場から「よくやった」という意味の拍手が起きたのだが……、でもしかし、これはもうちょっと騒然となって当然のヤバい光景なのではないだろうか。

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