「子供嫌いで妻が育児放棄」は離婚理由になるか 弁護士見解

NEWSポストセブン / 2016年2月7日 16時0分

 近年では家族の形態も様々に変化しているが、結婚すれば次は子供が期待されることも多いだろう。だが、娘が生まれたところ妻の子供嫌いが判明し、育児を一切行なわない場合、これは離婚理由になるか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 結婚2年目に長女が誕生。そのとき知ったのですが、妻は子供が嫌いらしく、そのため私が半年間の育児休暇を取りました。その間、妻は仕事に専念し、余暇でも子供の面倒を一切みず、育児放棄の状態です。この状況に嫌気がさした私は離婚を決意したのですが、妻の育児放棄は離婚理由となりえますか。

【回答】
 育児放棄というだけでは、離婚はできません。奥さんが調停で離婚に同意しなければ、裁判離婚が必要となります。裁判を行なうには、民法で定める5つの離婚事由のどれかがなくてはなりません。

 不貞行為、悪意で遺棄、3年以上の生死不明、回復の見込みのない強度の精神病のほか、「婚姻を継続し難い重大な事由」(5号事由)があれば離婚は認められます。5号事由は、婚姻関係が破たんして、もはや回復の見込みがなくなった場合をいいます。

 原因は様々ですが、裁判例では肉体的・精神的暴力や虐待、賭博など遊興浪費をし、勤労意欲がないこと、性格不一致や愛情の喪失、不正常な性的関係、家族との軋轢、宗教関係などが主張されることもあります。つまり、5号事由の有無は諸般の事情を踏まえ、総合的に判断されます。

 ご質問の場合も、この5号事由があるかが問題です。結婚2年目で長女が生まれ、今のところ同居して婚姻関係を維持しているようなので、奥さんがあなたへの愛情を失っていなければ、裁判離婚は難しいでしょう。

 育児放棄とあなたはいいますが、甘やかさない子育てもあります。結婚後、それほど時間は経過しておらず、育児に不満を感じ始めてからの期間もわずかです。奥さんが子供を虐待するなど、客観的に見て異常な行動を取り、あなたが愛情を失うのも無理はないと思われるような状態でないと、裁判所は5号事由を認めないと思います。

 あなたの場合、互いの考えを理解すべく努力の余地があるように思います。奥さんが妊娠・出産という大事業を成し遂げたことを考えてあげるべきではありませんか。二人で話し合っても育児の協力関係が築けない時には、家庭裁判所に夫婦関係の調整調停を提起し、調停委員や家裁の調査官などの意見を聞いてみるのも有効です。

【弁護士プロフィール】
◆竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2016年2月12日号

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