セウォル号事故「空白の7時間」を現地取材 口をつぐむ人々

NEWSポストセブン / 2017年1月27日 7時0分

写真

韓国の全国民が解明を望むセウォル号事故「空白の7時間」

 2016年10月31日、実業家を名乗る女性、チェ・スンシル(60才)が韓国で緊急逮捕された。肩書は実業家でシャーマン、そして韓国大統領、朴槿恵(64才)の大親友。その彼女が外交や北朝鮮対策などにかかわる国家機密や、大統領の演説文を受け取り、国政に深く介入していたことや、政治資金を流用したことが逮捕理由だった。

「苦しい時にも助けてくれたから、何でも相談できる間柄だった」。両親を暗殺され、信用できる人間がいなかった朴槿恵は、そう言って彼女を擁護し、アドバイスをもらってはいたものの、疑惑そのものは否定した。しかし、事態は収束するどころか、この逮捕を発端に韓国を揺るがす一大スキャンダルへと発展している。

 チェ・スンシルの娘、チョン・ユラ(20才)の名門女子大不正入学疑惑、サムスンやロッテなど大財閥の不正献金疑惑、そして朴槿恵が公費で整形や美容注射を打っていた疑惑などが相次いで浮上。ついにはセウォル号沈没事故の当日(2014年4月16日)、整形の施術を受けていたのではないかという疑惑まで飛び出した。韓国で今、何が起きているのか。本誌・女性セブン記者は、極寒の韓国へと飛んだ──。

 1月17日、光化門(ファンファンムン)広場。

「3年たった今も、韓国国民の傷は癒えていません。もし、あの日韓国に大統領がいたら、あんな事故は起きなかった」

 セウォル号のデモのテントに座り、初老の男性が涙ぐみながら訴えた。

 私たちが韓国に着いてからまず訪れたのは、デモの中心となっている場所だ。大統領官邸「青瓦台(せいがだい)」をはじめとする公共機関や、ラグジュアリーホテル『フォーシーズンズ』が立ち並ぶ中にあるその広場は、洗練された街の雰囲気からは随分浮いているように見えた。

「もしきちんと対応していれば、食い止められた事故だったんです。あの7時間、一体何が起きていたのか、私たちは知る権利も義務もある」

 知る権利と義務──この言葉はその後の取材中も、いろんな場所で聞いた言葉だった。

 当時、日本でも連日大きく報じられたセウォル号事件は、韓国では過去のものではない。2014年4月16日に起きたセウォル号の転覆は、乗員・乗客の死者295人、行方不明者9人、捜索作業員の死者8人を出した。

 事故が起きたのは午前10時。大統領にはすぐに約300人が行方不明と連絡が入ったものの、対策本部に顔を出したのは午後5時を回っていた。国の緊急事態に怠慢があったのではないか。あれから3年が経った今、チェ・スンシルの逮捕を発端とした一大疑獄事件に発展した中で、韓国国民は大きな疑惑の目で、事件を見ている。最大の焦点は、この「空白の7時間」に朴槿恵が何をしていたのか。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング