相撲的人生十五番勝負 何勝何敗か知れば自己肯定感を持てる

NEWSポストセブン / 2017年3月5日 16時0分

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あなたは人生75年で勝ち越せるか?

〈大相撲がはじまると、人生もまた十五番勝負だな、と思う。はたして、いまの私は何勝何敗なのであるか〉〈七十五歳で十五番勝負をするとすれば、五年間が一勝負となる〉──。「人生十五番勝負」という人生観について語った作家の嵐山光三郎氏による「文藝春秋」2月号掲載のエッセイが話題となっている。千秋楽を迎えたら、あなたの人生は勝ち越しか負け越しか。

 元会社役員の男性(72)は、これまで九勝五敗で千秋楽を迎えているという。戦時下に中国で生まれ、小中高と苦労なく過ごし、国立大学へ進む。卒業後は銀行へ就職。20代と40代で合併を経験し、左遷と思われる人事にも遭遇した。50代で転職すると、縁あって副社長に抜擢され、65歳の定年は68歳まで伸びた。

「負けに等しい勝ちはあるけど、完敗はない。肝心なのは千秋楽。ここで勝てれば2桁勝利となって、平和に暮らしていけそうです。平凡な十両クラスの人生だったと思うけど、来場所は幕内まで昇進したい(笑い)」

 団体職員の男性(68)は、十三日目までを終えたところで六勝七敗。「今のところは、残りの二番は勝って終われそうなので、なんとか八勝七敗で勝ち越せるんじゃないでしょうか」という。

 55歳の時に会社都合で早期退職に追い込まれたときには「もう人生を休場したくなった」と思ったというが、その後の転職で土俵に上がる意欲を取り戻した。「75歳まで勤められる今の職場に就職できたので、結果オーライ。前職では75歳まで働くなんて、社長にでもならないと無理でしたから」

◆“十六日目”に挽回できる

 こうした自分の過去を振り返る「自分史」に詳しい「自分史活用推進協議会」名誉顧問の久恒啓一・多摩大副学長は言う。

「団塊世代を中心に自分史ブームが起きています。年を重ねると『体が言うことをきかない』『お金がない』と自己否定に陥りがちです。この十五番勝負のように、自分がこれまで何勝何敗だったかを知ることは、失敗が自分に勇気を与えたことや、ある人との出会いが自分の転機になったことなど、人生の『つながり』を発見できます。“黒星”が続いてしまった人でも、『仕事ではそうだったが趣味ではいいことがあった』という発見もあるはずで、今の自分に対して自己肯定感が持てるようになるのです」

 たとえ負けが込んでも、相撲とは違い、人生では千秋楽打ち出しのはね太鼓が必ず鳴るわけではない。

「75歳以上を後期高齢者と言いますが、100歳以上の人口が6万人を超える日本では、まだまだ若い。後期高齢者からスターが現われる時代なのです。十五番勝負のように75歳までの自分史を振り返ることで、未来に向けて舵を切る。挽回もできるわけで、ここからどう生きるかが大事になるのです」(同前)

 十五番勝負で人生は終わらずに、十六番、十七番と続いていくのだ。休場することなく土俵に上がり続ければ、負けを挽回するチャンスもやってくる。

※週刊ポスト2017年3月10日号

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