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「磁気刺激打ち分け治療」で失語症やマヒに大きな成果

NEWSポストセブン / 2017年3月3日 11時0分

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失語症などに大きな効果を期待

 脳卒中は、左右どちらかの脳が障害され、障害とは反対の半身にマヒが残ることがある。軽度のマヒの場合は、磁気刺激とリハビリ併用治療を2週間の入院で受け、退院後も自宅で正しいリハビリを継続するとマヒは改善し、治療効果は継続する。

 さらに重症の場合でも、2010年からボツリヌス治療が保険適用になり、ボツリヌス注射で痙縮を和らげてから、リハビリを実施することで症状軽減に効果をあげている。しかし、脳卒中による失語症は、言語療法を実施しても効果が得られにくい。

 東京慈恵会医科大学附属病院副院長で、リハビリテーション科の安保雅博教授の話。

「言葉をしゃべるというのは、意識や認識、運動など多くの要素が揃うことが大事です。例えば、スポーツをしたほうが言葉も出やすいし、孫が生まれて急にリハビリに集中できるようになったりします。何が失語症の回復に役立つのかは人により様々です。また、言語は左脳がほぼ担っているといわれていますが、右脳で回復する方もいます。私はfMRI画像評価から、世界で初めて失語症患者に対する磁気刺激打ち分け治療を行ない、大きな成果を得ました」

 治療に際し、患者が脳のどこで言語回復をしているのかをfMRI画像で確認し、その部分の機能を高めるため、磁気刺激を行なう。言語回復部位と反対の脳に1秒1回の磁気刺激を40分間施行する。あるいは障害された言語回復部位に直接、1秒10回の磁気刺激を計2400回施行する。これを2週間継続することで、言語機能はかなり回復する。

 現在、安保教授が取り組んでいるのが、仕事を持っている脳性マヒ患者に対する治療だ。マヒにより、両足が突っ張って歩き方がギクシャクし、腰痛に悩む痙直型脳性マヒ患者に、磁気刺激とリハビリテーションを2週間実施した。その結果、歩くたびに内股がすれていた患者が、足の裏をべったりと地面につけられるようになり、歩き方が非常にスムーズになった。

「リハビリは、成果が出にくいと思われていますが、磁気刺激と適切なリハビリテーションを併用すれば、確実に効果があがる治療です。近年、若い脳卒中患者が増えているので、マヒを軽減し、いかに社会復帰を促進するかがテーマとなっています。現在、当病院と人材派遣会社が提携して、マヒや失語症の治療を行なった方の社会復帰を支援する取り組みを実施しています。すでに5人の方が社会復帰を果たしました」(安保教授)

 磁気刺激打ち分け治療は、16歳以上で頭蓋内にクリップやコイルなどの金属やペースメーカーが入っていないこと、うつ病でないこと、認知症を併発していないことなど、いくつかの適用除外がある。

 上肢マヒへの治療は現在、北海道、青森、東京、長野、福井、兵庫、広島、鳥取、鹿児島で実施。受診を希望する場合は、主治医からの予約により受付可能だ。

●取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2017年3月10日号

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