稀勢の里、全日本力士選手権で2連覇も左のおっつけ見られず

NEWSポストセブン / 2017年10月16日 16時0分

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11月の九州場所では黄金の左は復活するのか

 大相撲9月場所は3横綱2大関が休場に追い込まれる寂しい土俵となっただけに、多くのファンが11月の九州場所での上位陣の戦線復帰を望んでいる。とりわけ期待を集めるのが唯一の日本人横綱・稀勢の里だが……。

 10月2日に両国国技館で行なわれた「全日本力士選手権」で、稀勢の里が昨年に続いて2連覇を果たすと、翌日のスポーツ紙は一斉に派手な見出しを打った。

〈稀勢優勝!!〉(日刊スポーツ)、〈稀勢復活のろし〉(デイリースポーツ)、〈稀勢復活へ吉兆V2〉(スポーツ報知)、〈稀勢V2 九州場所で再起だ〉(サンケイスポーツ)──。

 大会後の稀勢の里のコメントも前向きだった。

「これまで体を作って来たのが(相撲に)出ている。下半身もそうだし、全身が使えている。勝ったのは光栄。非常に良かったんじゃないか。これをきっかけにしていきたい」

 途中休場を含めて3場所連続休場中だけに、九州場所に出るなら、ファンが見たいのは復活優勝しかない。しかし──なぜか現場を知る関係者は一様に顔を曇らせるのだ。若手親方の一人がいう。

「優勝したトーナメント戦の選手権で、稀勢の里が対戦した相手は、千代の国(前頭7)、大栄翔(前頭11)、正代(前頭5)、朝乃山(前頭16)、豪風(前頭10)の5人。いずれの取組も右上手を引き、右で抱えて一気に前に出る寄り切りでした。

 すべて危なげない一番だったが、最大の武器である『左のおっつけ』が一度も見られなかったんです。“完全復活は遠いな”というのが正直な感想です」

 3月場所で劇的な逆転優勝と引き換えに痛めた左上腕が、今も完治していないとする見方である。加えて、“大会の性質”からして、優勝を手放しで評価することに違和感を抱く関係者も少なくない。「全日本力士選手権」は1925年、明治神宮が創建された際に協会が始めた“奉祝イベント”だ。

「勝っても負けても番付には関係なく、賞金が出るといっても上位陣にとっては本場所の懸賞金のほうが大きい。若い力士に花を持たせることもあるし、早く負ければそのまま帰れるので、用事がある力士は早々に“転んで”引き上げていく。体に砂がつくと風呂に入らなければいけなくなるから、“投げ技禁止”が暗黙のルールだといわれています。決まり手は押し出しか寄り切りが大半です」(担当記者)

 今回、稀勢の里が勝った5番の決まり手も、すべて寄り切りだった。

「いってみれば花相撲ですから、上位力士はケガをしないことを優先する。日馬富士、鶴竜は土俵には上がったものの揃って1回戦負け。白鵬は大会前の土俵入りだけで、トーナメントには参加しなかった」(同前)

 稀勢の里が「双葉山や北の湖に続く史上8人目の連覇達成」という報道を見ると、つい期待を膨らませてしまうが、同大会の歴代優勝者を見ると、直前の場所で横綱昇進を果たした日馬富士(2012年)や大関に昇進したばかりの把瑠都(2010年)など、“タイミングの良い優勝”が目につく。

 白鵬や鶴竜も横綱昇進の年に優勝しており、「周囲が空気を読んだ上での“ご祝儀優勝”になりやすい」(協会関係者)というのである。

※週刊ポスト2017年10月27日号

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