【法律相談】借金の催促 3年間しなかったらチャラに?

NEWSポストセブン / 2018年1月26日 7時0分

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借金は頻繁に催促しないとチャラに?

 友人間でのお金を貸し借りする場合、「催促なしのある時払い」になってしまうことが多いが、借金の催促を長期にわたってしなかったらチャラになるものなのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 急な出費があり、3年前に友人に貸した10万円を思い出し、返してほしいと連絡したところ、「この3年間、お前は1回も催促しなかった。3年間請求がなかったら借金はチャラになる」といわれ困惑しています。友人のいうように3年間催促をしなかった場合、本当に借金はなかったことになるのでしょうか。

【回答】
 借金が3年でチャラになることはありません。友人の主張は、時効による債務の消滅のことです。借金などの債務は、貸主(債権者)が一定期間権利行使をしないと、権利(債権)を失います。これを消滅時効といい、その期間を時効期間といいます。

 消滅時効制度の理由は、債務が発生してから時間が経つと債権債務の発生原因の証拠や債務弁済した証拠が失われかねないことや長期間権利行使がない状態が続くと、もう請求はないだろうと事実上の期待の下で安定した関係になれると考えられることによります。また、権利の上に眠る者は保護するに値しないという考えもあります。

 いずれにせよ、消滅時効は債権者の権利行使がないままに時効期間が経過することが前提です。時効期間は法律で決まっており、債権の種類によって様々で、時効期間は権利行使ができるときから起算します。

 時効期間が3年という債権は、医師などの診療報酬債権や建築工事の請負代金などです。友人同士の金銭貸借による返還債務は、通常の民事債務ですから時効期間は10年で、返済日の約束があればその翌日から、特に返済期限を決めていなければ貸した日の翌日から起算します。まだ3年しか経っていない貸付金に対する友人の言い分は通用しません。

 民法や商法で定められている消滅時効の時効期間は、債務の種類で細かく分かれており、わかりにくく不便です。そのせいで友人も誤解したのでしょう。先ごろ成立した民法の改正法では、一律に権利行使できることを知った時点から5年、知らなくても権利行使できるときから10年に変わります。ただし、不法行為による損害賠償請求権は従来どおり3年原則です。生命・身体への侵害によるものが5年になります。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2018年2月2日号

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