MR-PET  X線のPET比で精度約4倍、体の負担は半分以下

NEWSポストセブン / 2018年3月19日 7時0分

写真

MR-PETの検索風景(相良病院提供)

 1度の検査で全身をくまなく調べることができるため“がん検診の切り札”と呼ばれる「陽電子放射断層撮影装置」(PET)。それまで主流だったX線検査では見つけられるがんの大きさの限界が直径1.5cmだったが、PETは直径1cmのがんを発見できる。この0.5cmの差により、従来の検査に比べて検出できるがんが格段に増えた。

 そのPETが、近年さらなる進化を遂げた。磁気共鳴画像装置(MRI)と組み合わせた「MR-PET」だ。2010年にドイツ・シーメンス社から発売されて以降、国内でもその台数を増やしており、現在10台が稼働している。

 2016年9月にMR-PETを導入した、相良病院(鹿児島県)の相良吉昭理事長が話す。

「PETは『最もがんの存在を検知しやすい』、MRIは『最も部位を特定しやすい』という、それぞれ補い合う性質を持っている。同時に検査を行なうことで、単体よりも精度を高めることができます。

 対象のがんは乳腺、頭頚部、甲状腺、肺、食道、大腸、前立腺、膵臓など幅広く、全身をくまなく検査できる。そのため初期の小さながんや、再発や転移も見つけやすい」

 検査費用は12万9600円でX線検査(約3万円、3割負担なら9000円)に比べて高額だが、「X線検査に比べて精度は約4倍、体への負担は半分以下」(医療経済ジャーナリストの室井一辰氏)とされる。

 鹿児島県在住の会社経営者・和田秀一郎さん(51)は昨年、相良病院でMR-PETを受けたところ、胃に「GIST」(消化管質腫瘍)という希少がんが見つかった。そのわずか1か月前に人間ドックで「異常なし」と診断されていたため、驚いたという。

「人間ドックでは胃カメラや腹部エコー、血液検査もやりましたが異常が見つかりませんでした。ところが、MR-PETの診断結果では『胃の外側に4cmの腫瘍がある』と……。胃カメラは胃の内側しか見られないし、腫瘍が胃の背中側にあったから腹部エコーにも映らなかったと説明されました」(和田さん)

 1か月後に腹腔鏡手術で腫瘍を除去している。予後は良好だ。

「私はトライアスロンが趣味で、健康には自信がありました。検査前にも病気の自覚症状はまったくなかった。たまたま受けたMR-PETで発見できて本当に良かった」(和田さん)

 その精度の高さを象徴するケースだ。

※週刊ポスト2018年3月23・30日号

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング