日米ゴルフ会談へ 「嬉しくて総理の尻尾振り切れた」と官僚

NEWSポストセブン / 2018年4月10日 7時0分

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トランプ氏に足元を見られるのは必至か(UPI=時事)

 安倍晋三首相は4月17日から訪米し、フロリダにあるドナルド・トランプ米大統領の別荘「マールアラーゴ」に2日間滞在して首脳会談を行なう。3回目となるゴルフ会談も検討されている。

 世界経済の先行き不安から株価が乱高下する中、各国は米国の制裁発動後、最初にトランプ氏と会談する安倍首相の言動を注目しているが、首相の頭の中は北朝鮮でいっぱいで、世界が期待する貿易問題の解決など見えていない。

 より正確に言えば、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が中国の習氏を皮切りに、韓国の文在寅・大統領、米国のトランプ氏と相次いで首脳会談を行ない、自分だけが蚊帳の外に置かれて対北朝鮮問題が“安倍抜き”で話し合われることに焦りまくっているのだ。

 日米首脳会談への意気込みを語った政府与党連絡会議(4月2日)でも、首相の口から「関税問題」の言葉はなかった。

「2日間にわたりじっくり日米首脳会談を行ないたい。最重要課題である拉致問題についても、トランプ大統領に、来る米朝首脳会談において取り上げるよう直接要請します」

 安倍首相の前のめりの訪米姿勢に最も危惧を抱いているのは外務省だ。

「いまや政権内部は北朝鮮への方針をめぐって2つに割れ、総理と官邸は融和派、河野太郎外相の方が強硬派になっている」

 そう指摘するのは外務省中枢筋だ。

「わが省の上層部はトランプ大統領の外交的な賭けが成功する可能性は極めて小さいと判断している。だから日本はいま“首脳会談に乗り遅れる”と焦ってベットする(チップをかける)必要はない。じっくり構えて、米朝交渉の結果を見極めてから動けばいい。

 仮に、米朝交渉が進展した場合、日本の安全保障上のリスクも下がる。米国は北朝鮮にカネは出さないから、日本に経済協力を求めてくる。その時は“拉致問題の解決がない限りビタ一文出せません”と時間をかけて交渉すればいい。

 カードはこっちにある。それなのに、下手にトランプ大統領に頼み事をすれば北に手の内をさらし、失敗すればトランプと一緒に泥を被ることになる」

 河野外相も「北朝鮮の実験場でトンネルから土を運び出し、次の核実験の用意を一生懸命にやっている」と警鐘を鳴らし、長年拉致問題に携わってきた佐々江賢一郎・前駐米大使も、2月末にワシントンでの記者会見で「実質的に米朝対話の局面にあるとは思わない」と明言するなど米朝交渉の成功には否定的だ。

 佐々江氏は大使交代のために帰国した3月20日に官邸で首相と会談し、「5月の米朝首脳会談が成功する可能性は低いという見通しを伝えた」(同前)とみられる。

 だが、森友問題で落ち込んだ支持率を外交で挽回したい安倍首相にはそれが不満だった。なにより、「私の政権で拉致被害者を全員帰国させる」と国民に宣言した首相にとって、日朝交渉に乗り遅れることは面子にかかわる問題だ。

「外務省はトランプ政権の動きを読み違ってばかり。総理は“何やっているんだ”と情報を信用せずに日程調整を急がせた」(官邸の安倍側近)

 首脳会談の日程が決定したのは、首相お気に入りの杉山晋輔・前外務事務次官が新駐米大使として米国に赴任(3月28日)してからだ。“別荘でゴルフ会談も”というホワイトハウスの意向を伝えられた時の様子を外務官僚は、「うれしくて総理の尻尾が振り切れていた」と表現した。

※週刊ポスト2018年4月20日号

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