朝日新聞公文書スクープ 背景に省庁再々編への霞が関謀反
NEWSポストセブン / 2018年4月17日 7時0分

相次ぐ公文書スキャンダルは何を意味する?(共同通信社)
「嘘つきと言う以上は明確に私が嘘をついている“証拠”を示していただかなければいけない」──。
加計問題を国会で追及された安倍晋三首相はそう色をなして反論したが、苛立ちの理由はまさしく、次々と“なかったはずの新証拠”が出てきているところにありそうだ。
加計学園の獣医学部認可問題で官邸中枢に火が回った。〈本件は、首相案件〉という、柳瀬唯夫・元首相秘書官(現在は経済産業審議官)の発言を記録した愛媛県庁職員のメモの存在が明らかになったからだ。
多くの疑惑を乗り切ってきた官邸サイドはなおも強気な言い方をするが、安倍首相にとって、一連の公文書疑惑の展開は今までとは違う。一つの疑惑を逃げ切ったと思うと、官僚が忖度して処分したはずの不都合な記録がどこからか漏れ出し、それを首相の「天敵」である朝日新聞がスクープする。いつまで経っても「底なし沼」のように疑惑から抜け出すことができない。
◆霞が関「大粛清計画」
「どうして朝日がこんなに都合良くスクープを飛ばせるんだ。“後ろ”から鉄砲を撃たれているとしか思えない」
官邸の安倍最側近の1人は、公文書問題の噴出は朝日と手を組んだ霞が関の“謀叛”の動きだと感じ取っている。
「財務省は文書改竄問題で総崩れのように見えるが、責任を負わされたのは佐川宣寿・前国税庁長官だけ。加計メモでは柳瀬審議官という、いずれも総理が目をかけて出世させた2人の官僚が“スケープゴート”にされた。財務省など霞が関の反対勢力はたとえ役所が傷を負っても、政権を潰そうと一斉に自作自演の自爆テロを仕掛けてきたんじゃないか。上層部はそんな疑心暗鬼に陥っている」(経産省出身の官邸スタッフ)
反乱のきっかけは、官邸から浮上した中央省庁の再々編構想だ。
安倍首相の“盟友”として知られる甘利明・自民党行革推進本部長は、3月下旬に各府省に文書を送り、橋本行革の点検と検証のためのヒアリングを行なうことを通告。霞が関に激震が走った。橋本政権下で進められた中央省庁再編(実現は2001年)では、折からの大蔵官官接待汚職で霞が関に大ナタが振るわれ、それまでの1府22省庁を1府12省庁に再編した。事務次官10人のクビを切ったのだ。
通告が出たのが佐川喚問の直前だったことから、文書改竄問題で追い詰められた安倍官邸が“懲罰”として「霞が関大粛清」に乗り出すと受け止められた。
自民党内では、5月の連休後から議論を開始し、「秋の総裁選の前に“新たな省庁再編案”の叩き台をまとめることになるだろう」(自民党幹部)というスケジュールが検討されている。“お家取り潰し”や“解体”の候補には財務省をはじめ、安倍政権の看板政策・働き方改革のデータ改竄を行なった厚労省、外務省、総務省、そして内閣府とほとんどの重要官庁が標的になる。
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