巨人二軍選手の不祥事背景に「どうせ一軍に上がれない」環境も

NEWSポストセブン / 2018年7月24日 7時0分

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92歳の渡邉恒雄氏は何を思う(時事通信フォト)

 巨人軍には、スター選手に関する不祥事ほど寛大に接する「伝統」がある。巨額の借金も肩代わりするし、破廉恥事件も穏便に済ます。そんな伝統の“源流”が40年前に起きた「巨人軍史上最大のスキャンダル」であると見る関係者は多い。

 日本球界の「巨人至上主義」を一貫して批判してきたスポーツジャーナリストの玉木正之氏もその一人だ。

「特定の選手だけを醜聞から守るという歴史は、1978年の『空白の一日』が契機になったと思います」

 この年のドラフト会議前日に起きた江川卓の入団を巡る大騒動の経緯を知る人は多いだろう。ドラフト制度の“抜け道”を強引に突破してスター選手を“ドラフト0位”で手に入れようとした「球界の盟主」の手口の醜さと狡さは社会問題に発展した。玉木氏が続ける。

「『空白の一日』は、巨人の傲慢さの原点にあると同時に、メディア企業が野球チームを所有する弊害を示した事件と考えています。

 メディアがスポーツに強大な影響力を持てば、“ルールを都合良く運用すればいい”と錯覚を持ち始める。そのメディアの影響力が大きくなれば、所属選手の問題行動が発覚しても報道が矮小化されかねない。他のメディアも“お仲間”だけに批判しにくい空気が生まれていく。でも、もうそんな時代ではない」

 そうした伝統は、巨人軍というチームにとってもマイナスに働く──そう指摘するのは巨人軍OB会副会長も務めた球界のご意見番・広岡達朗氏だ。

「ドラフト上位やFA移籍で入団した選手を厚遇すれば強くなれると思い込んでいるところが大間違い。ドラフト下位の選手を二軍で鍛え、特別扱いで一軍に安住する選手と入れ替えて競争意識を刺激すれば、チームはいくらでも強くなる。

 V9時代はレギュラーが固定されていたように思われがちですが、全く違います。川上(哲治)監督はレギュラーの座に胡座をかく者を脅かす選手を次々と獲ってきた。嫌がらせのようにね(苦笑)。だからこそ長嶋(茂雄)も王(貞治)も森(昌彦)も厳しい練習を自分に課して成長した。

 でも、今はドラ1で入った選手を甘やかすから、すぐに“あそこが痛い”“違和感がある”などとサボり出す。名前は挙げないけど、そんな選手ばかりですよ」

 巨人の二軍事情に詳しいスポーツライターが語る。

「問題を起こした選手に共通しているのは“どうせ一軍には枠がない”“試合で失敗すればすぐに多摩川(ジャイアンツ球場)戻り”という諦念です。不祥事の言い訳にはなりませんが、自棄になったり私生活で鬱憤晴らしをしたくなる気持ちは分からないでもない」

 エリートはとことん守られ、下っ端はボロ雑巾のように捨てられる──そんな“伝統”と訣別しなければ、「球界の盟主」の座はますます遠ざかっていく。

※週刊ポスト2018年8月3日号

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